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18話

2006年5月25日4時30分

静岡県にある浜松空軍基地を飛び立った16機の富嶽21型及び8機のB-1J連山Ⅱ(ランサー)両戦略爆撃機は上空給油機(エアタンカー)である各6機のKC-767及び富嶽22型甲や2機のE-767早期警戒管制機(AWACS)と共に日本海上空で小松空軍基地所属のF-15(イーグル)及びF-2(ゼロ・ファルコン)戦闘機及び空母(CVN-21)翔鶴搭載のラファル(紫電Ⅱ)やF-18にF-14と合流すると、朝鮮半島北東部の弾道弾発射施設へ向かうのであった。


因みにこの作戦の概要は同盟国の米国及び豪州、本戦争は自国の利益が侵されない限り中立を保つとしたロシアに伝えており、やや韓国寄りではあるとは言え、中立を保っている北東人民中華国政府にも一応、とは言え伝わっていた。


同日5時ライジング・ストーム作戦が遂に発動したのである。

旗対峰付近の防空レーダーが日本側の爆撃部隊を捉えるとすぐに付近の空軍基地の戦闘機隊や防空ミサイルを総動員し、迎撃準備を整える。

とは言え、旧北朝鮮系の装備が中心の旗対峰周辺の空軍基地に配備されているのはベトナム戦争時に猛威を振るった60年代の対空ミサイルや航空機だとMiG-21と言った、世界の軍事マニアが泣いて喜ぶようなものであり、韓国空軍の次世代主力戦闘機であるKF/A-29神鳥(フェイカー)やF/A-50若鷲(フルスロット)の数は少なく、何とか飛行時間が70時間に達することの出来た旧北系でもトップクラスの実力を誇る平壌防衛隊から移動してきたMiG-29ファルクラムの数すら6機1個中隊程度であった。


とは言え、勝てない戦闘でも戦うしかない。それは弾道弾施設や核施設を護る為であり、国家の威信を守るためでもある。


MiG-29が最初に飛び立つとMiG-21が続いて飛び立ち、年代物のMiG-19が最後に飛び立っていく。更に最後にEC-130(モーラー)早期警戒機が飛び立つ。

が韓国空軍が抵抗のための航空機を飛ばしたことなど日本側にはすでにAWACSからの情報で知られており、富嶽や連山Ⅱ(B-1J)は安全な距離から対地上特殊徹甲誘導弾である91式特殊誘導弾を放ったのである。

MiG-29やMiG-21はすぐに富嶽及び連山に対してロシア製の空対空誘導弾であるR-27を放つが、R-27はエリート部隊に配備されているAIM-120A(AMRAAM)やロシア製のR-77(アッダー)及び中国製のPL-8(霹靂8)や神矢2型及び日本側の持つ発射母機からのレーダー照射による(セミアクティブ)かミサイル自身の搭載したシーカーよる自立誘導(アクティブホーミング)の選択が可能な99式空対空誘導弾(AAM-4)及びそのカウンターパートである米国製のAMRAAM(AIM-120B)と異なりレーダー照射(セミアクティブ)式誘導なのでミサイルが命中するまでに日本側の撃ちっ放しミサイルによって発射母機が撃墜される可能性が高いとは言え、速度に関してはほぼ同等であるのでどちらが勝利するかは不明瞭である。とは言え、ミサイル自身が電波を照射する事が出来るので回避行動が取れ、データリンク信号は受信し難いタイプである分日本側のほうが有利ではあった。


だが、何発かのR-27はチャフやミサイルをかわして数機の富嶽や旧式化の進んでいたF-4EJ及びF-14Aを撃墜するも、初期型F-14A(レガシー・トム)に対してエンジンが極めて強力なF-15(イーグル)F-14J(スーパートムキャット)やステルス性能の思想を取りいれて設計され、かつ前述の2機種に匹敵するくらい強力なエンジンを持ち、複合材の使用で軽量な機体を持つF-2及びF-18Eにラファルは高い運動性能でそれを回避し、再びAAM-4を放つ。

韓国側はR-27を放つもその数分後には91式ミサイルが弾道弾基地のあるエリアにほど近い山の頂上へ命中すると弾頭が炸裂し、山が崩れると土砂崩れとなって発射施設を襲う。そして弾道弾の施設は土砂崩れによって破壊され、そこで勤務していた多数の軍の科学者や技術者が呑み込まれていく。

ハッキリ言ってしまえばこれは韓国軍が福岡でなどでやった無差別爆撃と違いは目標が一般市民では無く、軍属や軍人に対するものであった。


むろん、帝国は1945年の日ソ戦争時に実施したウラジオストク攻撃も市街地への攻撃は山口司令の厳命で行われず、ほとんど弾種が軍港地帯の破壊に用いられ、空軍飛行場攻撃以外には使われていなかった言う。


それは兎も角、超高々度から山頂への命中を確認すると富嶽や連山Ⅱ(ランサー)はすぐに旋回して離脱を試みるも清津基地所属のMiG-25が放ったミサイルにより3機が撃墜されてしまったが、すぐに駆け付けた6機の翔鶴航空隊のF/A-18E(スーパーホーネット)戦闘機の放ったAAM-4(99式空対空誘導弾)は旋回能力の低いMiG-25葬り、F-18戦闘機は富嶽の仇を討ったのである。

とは言え3機の犠牲を払ったとは言え、国防軍は韓国陸軍戦略群は壊滅的な被害を与え、別の弾道弾発射施設も富嶽及び連山Ⅱの91式誘導弾によって大きなダメージを受けており、これ以上の戦略打撃は移動式で旧式のスカッドに頼らざるを得なくなったのである。とは言え、スカッドは比較的信頼性は高く、小型でトレーラーに搭載できるという強みは都市部に隠蔽可能なもので、国際的な立場を常に考えて行動している日本側にとって都市部のミサイル発射施設に対する攻撃は無差別爆撃であるとして断念するであろうと言う内なる抑止力を秘めていた。


だが、日本側はこれ以上の弾道弾攻撃を行った場合、核兵器製造施設への空爆も辞さないと金武軍(韓国軍事政権)へ警告。金武軍はこれに屈せず、日本が九州を明け渡さない場合、残った地上移動型弾道弾(スカッドミサイル)による攻撃を日本海沿岸各地に実施すると宣言。無論、それを聞いた山部首相もそれに屈さない態度を見せ、両者一歩も譲らないチキンゲームが始まったのである。


一方、攻撃から遡ること半日前24日15時過ぎ、

太平洋海中某所では戦略原潜 潮(SSBN-545)攻撃原潜 八重潮(SSN-598)通常動力潜 満潮(SS-591)の護衛の元、朝鮮半島へ対する攻撃命令を待っていたのである。

潮発令所

「栗島に落ちたと言う弾道弾についてだが、どうなっている?」

落ち着いた声で艦長の倉田啓太大佐がそう聞くと通信員が「はっ、14時現在の情報によりますと住民の多くが死傷し、同島駐在の警官2名も死亡しており、島役場からの情報もありません」と伝えると倉田は「…………そうか、わかった。新しい情報がわかったら教えてくれ」と続くと次の瞬間だった、海軍戦略軍司令部からの連絡が入り、攻撃用意の体制が下ったのである。

(俺が核戦争のトリガーを引くことになるのか………)


そして半日後、戦略軍司令部から”戦略潜水艦による反撃の必要性は無い。空軍爆撃部隊による攻撃は成功した”との電文が届き、半日に渡る倉田の緊張はほぐれ、潮は通常の警戒配備に戻ったのである。

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