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保健室の先生はまだ新人

保健の高田先生は、音楽の安達先生とならび、生徒に絶大な人気がある美人だ。


長い黒髪を、いつもきれいにまとめあげて、ヘアピンで留めている。


それがいまは、修学旅行だからなのか、髪をすべておろしていた。


美しい黒髪は、先生の腰ほどまでもあった。


う、美しい…。


だが、そんな高田先生も、いまは憔悴して、呆然と立っている。


落合が、


「高田先生、すいませんが、二人が怪我をしてないか、看てやってください」


と言った。


高田先生は、


「あ、ああ…。は、はい…。すいません…」


あわてて美空のそばに駆け寄った。


先生は、まず美空の脈をみて、それから顔や身体を見たり、手で触ったりして、調べた。


「もう大丈夫よ。どこも怪我はしてないわ」


たしか、高田先生は、保健の先生とはいっても、今年大学を卒業したばかりの新人だ。


この状況では、戸惑うのもムリはない。


それでも、なんとか毅然として、保健の先生らしく振る舞おうとしている様子が、逆にとても可愛らしい。


美空を看終わった高田先生が、俺のほうを見た。


俺は一瞬、ドキッとした。


うーむ…。


やっぱり、美人だ…。


この高田先生が、俺の身体もあちこち触って調べてくれるというのか…。


そう思うと、


う、うれしい!


こんな状況なのに、なに俺、興奮してんだ…!?


だが、しかし…。


高田先生は、オレから一歩距離を残したまま、


「あなたは、怪我はない?」


と聞いてきた。


「え、ええ…」


と、俺は答える。


「そう、よかったわね」


以上、終了。


…って、おいっ!


なんで俺だけ、自己申告!?


思わずズッコけたが、そのとき、ドアの向こう側で、再び巨大な咆哮が響いた。


「ひぃっ」


と、美空が悲鳴をあげる。


そうだった。


いまはこんな、ラブコメみたいなことをしている場合ではないのだ。


なにしろ、ドアの外には炎を吐く怪物がウロウロしているのだから…。


俺は、落合先生の顔を見て、聞いた。


「先生、あれはいったい何なんですか?」

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