か、かわいい。
結局、俺たちは、一階のロビーまで行ってみることにした。
魔導師(かもしれない女の子)の手がかりが、なにかつかめるかもしれないからだ。
行くのは、俺と、美空さん、それからなぜか、横山の三人になった。
俺は、そもそもイスマを探すべきだと言い出した張本人。
美空さんは、イスマ(かもしれない女の子)の目撃者。
だから、俺と美空さんが行くのは、わかる。
しかし、横山は、なぜついてくるのか?
俺と美空さんが、二人で行くことになりかけたところで、横山がいきなり、自分も行くと言い出したのだ。
もしかしたら、こいつ…。
美空さんに気がある?
こんなジコチューなやつが一緒では、俺の立場が悪くなるじゃないか…。
こんな場合に、俺はそんなことを気にしていた。
我ながら、俺って、ほんとに器の小さい男だな…。
「よし、行くぞ!」
バリケードに隙間をあけて、外の様子をうかがった横山が、叫んだ。
おいおいバカ!
でかい声だすなよ。
死ぬ気なのか?
俺は、心の中で、張り切りまくっている横山に、ツッコミを入れる。
あくまで、心の中で、だが。
俺たちは、すばやく廊下に出た。
このバリケードに逃げ込む前、四階で火を吹く竜に襲われたこと、鋼鉄の騎士と向かいあったことなどを思い出して、思わず足がすくんだ。
隣で、美空さんも、真っ青な顔をしている。
彼女も怖いんだ…。
ここはやはり、俺が励まして、安心させてやらねばなるまい。
俺が口をひらきかけた瞬間、横山が、
「美空さん、安心して。なにがあっても、必ず僕が、君を守るからね」
と、真顔で言った。
こいつ…。
あれ? 美空さんも、けっこう真剣な顔でうなずいたりしているよ。
俺はあわてて、
「お、俺も俺も!」
と、なんだかお菓子をもらう子どもみたいなことを言ってしまった。
だが、この間の悪さがツボにはまったのか、美空さんは、くすくす笑って、
「ありがとう。二人とも。わたしもがんばります」
か、かわいい…。
俺は、ついさっき高田先生に誓ったばかりなのに、またしても誓った。
なにがあってもこの子を守ると。