魔導師は女の子⁉︎
「小学生の女の子⁉︎」
思わず叫んでしまった。
なにしろ、俺たちをこんな、わけのわからない世界に連れてきて、わけのわからない目にあわせている、その元凶の魔導師が、小学生の女の子だというのだ。
「ほんとに、ほんとなの?」
俺は興奮して、つい大声をだしてしまう。
「だから、わからないって言ってるでしょ!」
俺のあまりの剣幕に、美空さんもキレ気味だ。
「でも、明らかに怪しいわけよね、その子は」
高田先生だけが、冷静に話を進めた。
「そうなんです。なにかフードみたいなものをかぶって…」
「その子は、この宿泊施設のロビーにいたわけよね?」
「ええ。その子が、床の模様を杖で叩いたら、外が光ったんです…。本当に…」
「その子が、本物の魔法使いかどうか、わたしにはわからない。その子のせいで、わたしたちが、こんな世界に来てしまったのかどうかも…。
でも、その子が、イスマが召喚せし者か、あるいは、イスマ本人である可能性は、高いわね。
わたしは、とりあえず、その子を探すべきだと思うわ」
高田先生は、厳しい表情でそう言い切った。
俺は、嫌な予感に迫られながら、
「でも、どうやって? いまどこにいるか、まるでわからないのに…」
と言った。
間髪を入れずに、高田先生が答える。
「まずはロビーに行ってみるべきだと思うわ」
「いやいや…。ロビーって、一階まで行くんですか? 怪物がウヨウヨしてるかもしれないのに…」
俺がそう言うと、高田先生は大きなため息をついた。
そして、
「あのねぇ、新久保くん。そもそも、イスマが召喚せし者を探すべきって言い出したのは、きみなんだよ…」
みんなが、俺を見ていた。