数々のファンタジーRPGをプレイしてきた、この俺
「イスマが召喚せし者を探す?」
高田先生と、稲田は口を揃えた。
「イスマが召喚せし者って、その鋼鉄の騎士が言ってたやつ?」
「ああ」
「探すって、新久保くんは、その人がどこにいるか知ってるの?」
「いや、ぜんぜん知りません」
「じゃ、なんで…」
この二人は、まだわからないのか…。
数々のファンタジーRPGをプレイしてきた、この俺にとっては、もはやこの局面でやるべきことは、明らかだ。
「イスマが召喚せし者が持つ、光臨の剣を手に入れるんですよ!」
「光臨の剣⁉︎」
「そう。あのとき、あの騎士は、明らかに光臨の剣を、怖れていた。光臨の剣は、たぶん強力な武器なんだ。あの騎士さえ、ビビらせるような」
「なるほど。イスマが召喚せし者を探して、その武器を入手しようって言うんだな」
「今の俺たちが、無事にここを脱出するためには、なにか武器が必要なんだ。そうじゃないと、怪物に会うだけで、また大勢の犠牲者が出てしまう…」
「でも…そのイスマが召喚せし者って人、その光臨の剣ってやつを、簡単に渡してくれるのかしら?」
「それは、わからないです…。でも、少なくとも、イスマが召喚せし者は、あの騎士の敵なんだと思う。だから、こっちに力を貸してくれる可能性も、ないわけじゃないというか…」
「なんだか頼りない感じだけど…。でも、確かに、一理あるな」
稲田が、腕組みしながら言った。だんだん、いつもの稲田らしくなってきた。常に上から目線で、偉そうな…。
「それで、新久保くんは、イスマが召喚せし者がどこにいるかは、わかってるの?」
「いや、それは、まったく…」
「なんだそりゃ⁉︎ じゃあ、探しようがないじゃないか」
稲田が、いきなり馬鹿にしたように言った。
こいつ…。
そのとき、後ろからいきなり声がした。
「わたし、知ってるかも…」
美空さんが立っていた。