みんなが狩りを楽しんだ…?
「それで、三階ではなにが起きたの?」
高田先生が、稲田に聞いた。
そうだ。
俺も、それが知りたい。
「たぶん、四階と同じだと思います」
稲田は、暗い顔で続ける。
「あの、ブヨブヨした気味の悪い生物が、突然現れて」
「え? ちょっと待って‼︎」
高田先生が、あわてて話を止める。
「なに、そのブヨブヨした生物って? そんなの私たち、四階では見ていないわ」
高田先生は、確認するように俺を見る。
「俺も、そんか生物は見てない」
「え…。それじゃ、四階と三階では、違うのか…」
「そのブヨブヨした生物が現れて、どうしたの?」
「最初は、パニックが起きたんです。なにしろ気味が悪かったし、僕たち、見たこともない生き物でしたから…。
でも、しばらくして落ち着くと、みんな楽しみ始めたんです」
「楽しみ始めた⁉︎ いったい何を⁉︎」
「ブヨブヨの生物を、狩ることをです‼︎」
「狩るですって?」
「ええ。そのブヨブヨの生物は、異常に弱いことがわかったんです。木の棒とか、カバンとかで叩くと、簡単に殺せたんです」
「それで、みんかそいつを狩ることを楽しんだっていうの?」
「そうです。とくに男子が。ブヨブヨした気持ちが悪い生き物を、ブチブチ潰して殺すのは、たしかに、妙に癖になるというか、変な快感があったんです」
「でも、そんなに簡単に殺せたなら、ほかのみんなはどこに行ったの?」
「その直後だったんです!恐ろしいことが起きたのは!」