反逆者の仲間
「そちらのお若い学者さんも、ウインガーレイによる反乱の当事者だったとか?」
突然、話題をふられた俺はフリーズした。
ラインハルト公が、ヘビのような目で俺を見つめている。
公の口もとはニヤニヤと薄笑いをたたえていた。
だが、ドリアムは、顔色一つ変えずに答えた。
「反乱はすでに平定された。私自身が、ウインガーレイ本人を討ち取ってな」
「だが、そちらの学者殿は?」
「この若者は、ウインガーレイに利用され、事情もよく理解できぬまま協力させられていただけで、反乱の主体ではない」
「しかし、反乱に協力した、という事実は事実ですな」
ラインハルトは、氷のように冷たい目で俺を見据えた。
「護衛隊長として、そのような者を、護衛も付けずに陛下と会わせるわけにはいきませんな。むしろ、その若者に関しては、我々護衛隊が、厳しく取調べをする必要がありますな。ドリアム将軍の詮議は、ゆる過ぎるようですからな」
テーブルの下で、俺は足の震えを必死で抑えようとしていた。
このヘビみたいな男に取調べを受ければ、横山やイスマのことまでバレてしまうに違いない。
そうなれば、確実に俺は殺されるだろう…。
「そもそも、そのような反逆者の仲間を、陛下との晩餐会に同席させるとは、ドリアム将軍、あなたの見識についても、私としては、疑いを禁じえないですな」