ほとんど白馬の王子様
ドリアムの居館の前には、すでに皇帝の行列の騎兵たちが大勢到着していて、それぞれが馬をおりて、装備を外したり、くつろいだりしていた。
いずれも、屈強そうな男ばかりで、さすが皇帝の護衛を任される兵たちという、迫力に満ちていた。
一方、ドリアムの城の馬屋係りは大忙しだった。それぞれの騎兵から馬を預かって、城の馬屋に運ぶのだ。
皇帝が乗ってきた馬車は、居館の前に停まっていた。不思議なことに、側面に描かれた『皇帝の目』は、まぶたを閉じていた。
皇帝はすでに居館の中に入って、先に城に向かったドリアムと、おそらく中で面会しているのだろう。
「すぐに食事会がはじまる。我々は先に大食堂に行って、お待ちしていなければ…」
サーシャがそう言ったので、俺たちは大食堂に向かおうとした。
そのとき、
「サーシャ! サーシャ!」
と呼ぶ声が聞こえた。
見れば、まさに騎馬で到着したばかりの騎兵が一人、手をふりながら、近寄って来る。
近づきながら、騎兵が鎧のヘルメットをとると、まるでハリウッド俳優のような金髪のイケメンが現れた。
さっそうと片手で馬を操って、俺たちのすぐそばまで来た男は、ほとんど白馬の王子様といった雰囲気だ。
何者だろうか?
だが、サーシャは、露骨に嫌そうな表情を見せた。