表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/206

バリケード

全力で階段まで走った俺たちは、大急ぎで階段をかけ下りると、三階の廊下に出た。


ついさっきまで、ここで見張りをやらされていたのだ。


まるで、何日も前のことのような気がする…。


三階のみんなは、無事なのだろうか?


三階には、俺のクラスメイトたちが、全員宿泊していたはずだ。


「見て‼︎」


美空が、指をさして叫んだ。


廊下の奥に、ベッドを積み重ねたバリケードが築かれていた。


どうやら、このフロアにも、異変は起こったらしい。


俺は、気分が一気に落ち込むのを感じた。


心のどこかに、三階に戻れば、いつのの日常に帰れるような、そんな幻想があったのかもしれない。


だが、どこにも逃げ場など、なかったのだ。


俺たちは、必死にバリケードまで走り、積み上がったベッドを叩いて、叫んだ。


「中に入れてくれ!」


「お願い! ここを開けて‼︎」


美空の泣き声が届いたのか、ベッドが動かされ、俺たちは中に入ることができた。


なぜかはわからないが、あの騎士は追いかけては来なかったようだ。


バリケードを開けてくれたのは、クラス委員の早田だった。


「おいっ、はやく!」


早田はすばやく俺たちをひっぱり込むと、急いでベッドを積み直し、バリケードをまたふさいだ。


バリケードの中には、十数人ほどの生徒がいた。


みな、いちように疲れた顔をしている。中には、服が破れたり、怪我をしている者もいた。


どうやら、ここも怪物に襲われたらしい…。


「美空〜!」


美空の友だちらしい女子が三人、泣きながら駆け寄ってきた。


手をとりあって泣いている。


ああ…。ここで美空ともお別れか…。


思い返せば、この俺が、クラスでいちばんの美少女と一緒にすごせたなんて、もう二度とないことなのかも…。怖かったけど。


最後に美空は、一瞬、俺のほうを見て、なにか言いかけたけれども、友だちにうながされて、すぐ奥のほうに去って行った。


高田先生は、すでに怪我をした生徒の様子をみている。


すると、


「おいっ、新久保てめえ!」


聞き覚えのある声がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ