帝国の最高機密
もとの世界では俺たちが学生だったと知ったドリアムは、俺たちの世界は魔法科学が発達している、と勘違いしたようだった(やつの理解では、学生とは魔法博士の弟子のことらしい)。
が、そのあとのドリアムの言葉に、俺は驚愕した。
「だから皇帝は、あれほどまでの魔力をそなえておられるのだろうな…」
そうドリアムは言ったのだ。
その言葉の意味するところは、一つしかなかった。
ドルムガルフ皇帝は、俺たちと同じ世界から来た男なのだ。
俺は、ドリアムをじっと見つめた。
やつは、静かにうなずいた。
俺は、雷にうたれたような衝撃を受けていた…。
呆然、というのは、きっとこのことなのだろう。
しばらく、声が出なかった。
「おまえを、皇帝に引き合わせたとき、皇帝がどう対応されるのか、正直言って、私にもわからない。私が皇帝と出会ってから、皇帝がご自身以外の異界者と会われたことはないからな」
あのドリアムが、声を落として話していた。おそらく、このことは帝国の最高機密なのだろう。
「あ、あんたと皇帝は、どこで出会ったんだ? なぜ、あんたは皇帝の正体を知っている?」
「俺と皇帝の出会いは、五年前のことだ…」