ドルムガルフという帝国であり皇帝
「今日は、この城にドルムガルフ帝が来る。そこで、貴様のような珍客も、食事に招いてやろうと思って呼んだのだ」
ドリアムは、じつにさりげなく、そう言った。
ドルムガルフ!
この名前は、この世界に来て、二度聞いていた。
一度目は、稲田がレジスタンスから聞いた話として。
それによると、ドルムガルフはこの世界を支配する帝国の名前であり、同時に、帝国を統べる皇帝自身の名前でもあるらしい。
ドルムガルフは、わずか三年前に突如現れ、強力な魔法を駆使して、またたくまにこの世界の全土を支配したという。
二度目に聞いたのは、ウインガーレイ候から。
候によれば、もともとこの地方の領主だった候の城を、突然攻撃してきて、ついには占領したのがドルムガルフ帝国の軍団だったという。
そして、その軍団の将軍こそが、いま目の前にいるドリアムだったらしい。
そのドルムガルフ皇帝が、この城にやって来るというのか。
しかも、俺に一緒にめしを食えと…。
ドリアムは、ニタニタと嫌みたらしい笑みを浮かべている。
どうやら奴は、俺がドルムガルフを知っていると、わかっているようだ。
「お父様! こんな男を皇帝に会わせる気ですか? お父様とも思えぬ軽はずみに思えますが」