長い長い廊下
俺は、長い長い廊下を歩かされていた。
前を歩くのは、サーシャ。
そして、俺の後ろには、イメルトと呼ばれた忍者のような女中がいた。
長い廊下のところどころに、完全武装した鎧の兵士が、槍を持って立っていた。
兵士たちは、無表情に俺たちの通過を眺めている。
この長い廊下の先に、ドリアムの居館があるのだった。
サーシャは、さっきから一言も話さない。
後ろの女中も、どう見ても、話しかけても答えてくれる雰囲気ではなかった。
じつをいうと、俺は内心、ビビっていた。
横山の侵入が、バレてしまったのではないか?
そんな不安が、頭を去らなかった。
だいたい、誰もいないと思っていたサーシャの部屋の外に、この女中がいたって時点でかなりヤバイのだ。
いつから、あそこにいたんだろう?
もし横山との会話が聞かれていたとしたら…。
ドリアムの前に行った途端、美空さんや高田先生や稲田の死体があるのでは…。
そんな恐怖に、内心ビクビクしていたのだ。
「私は、ここまででございます」
急に、そう言って女中が立ち止まった。
「ドリアム様は、あちらでお待ちでございます」
そう言って、頭を下げた。
どうやら、廊下の途中に、お付きの者などが同行できるラインが決められているらしく、そこから先には槍の兵士も見えなかった。
サーシャはどんどん進んでいく。
やがて、廊下の先に、体育館くらいもある大ホールが見えてきた。
そのホールの中央が階段状に高くなって、てっぺんに椅子があった。
そこに、ドリアムが座っていた。