頬に伝わった涙
「な〜に間抜け顔で人をガン見してんだよ⁉︎ 横山さんが来てやったんだぜ!」
横山は、そう言って俺の肩をバンバン叩いた。
「よ、横山‼︎ なんで…ここに?」
「おまえねぇ、感動の再会だってのに、もっと他に言うことないのかよ? 『なんで…ここに?』って、おまえらを助けるために、決まってるじゃねえか」
「え…」
思考が、ぜんぜん追いつかなかった。
「で、でも…なんでカラスに? 魔法なの?」
「そりゃ、魔法に決まってるだろ? イルマに教えてもらったんだ。おまえらが消えてからさ、俺たちは抵抗軍の基地に行って、いろいろこの世界のことを勉強したんだぜ。戦いのための訓練もした。この世界で生きてくためには、強さが必要だからな。それで、なんだか知らねえけど、俺には魔法の才能があったみたいでよ。へへへ。イルマにそう言われて、ちょっと教えてもらったら、なんか魔法が使えるようになっちゃった、というわけだ」
横山は一気にまくしたてたので、俺はまたしてもついていけず、あんぐりと口をあけて聞いているだけだった。
が、次第に、横山の話が頭に染み込んできて、自分でも意外だったのだが、気がついたら、俺は涙を流していた。
「おいおい。なにも泣くことねえじゃん。俺が魔法使いになったからって…」
俺は、頬に伝わった涙を腕でぬぐいながら、
「い、いや…そうじゃなくて…なんか急に…みんなのこと教えられて…今まで、俺ら四人だけだったのに…みんなも元気なんだってわかったら…急に涙が…」
そうなのだ。
俺たちは、美空さん、高田先生、稲田と、四人でこの異世界をさまよってきたが、一緒に修学旅行に来ていた同級生たちが、まだまだこの世界にいるのだ。
横山が助けに来てくれたのも嬉しかったが、それ以上に、みんなが無事でいてくれたことが、俺には嬉しかった。