表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/206

頬に伝わった涙

「な〜に間抜け顔で人をガン見してんだよ⁉︎ 横山さんが来てやったんだぜ!」


横山は、そう言って俺の肩をバンバン叩いた。


「よ、横山‼︎ なんで…ここに?」


「おまえねぇ、感動の再会だってのに、もっと他に言うことないのかよ? 『なんで…ここに?』って、おまえらを助けるために、決まってるじゃねえか」


「え…」


思考が、ぜんぜん追いつかなかった。


「で、でも…なんでカラスに? 魔法なの?」


「そりゃ、魔法に決まってるだろ? イルマに教えてもらったんだ。おまえらが消えてからさ、俺たちは抵抗軍の基地に行って、いろいろこの世界のことを勉強したんだぜ。戦いのための訓練もした。この世界で生きてくためには、強さが必要だからな。それで、なんだか知らねえけど、俺には魔法の才能があったみたいでよ。へへへ。イルマにそう言われて、ちょっと教えてもらったら、なんか魔法が使えるようになっちゃった、というわけだ」


横山は一気にまくしたてたので、俺はまたしてもついていけず、あんぐりと口をあけて聞いているだけだった。


が、次第に、横山の話が頭に染み込んできて、自分でも意外だったのだが、気がついたら、俺は涙を流していた。


「おいおい。なにも泣くことねえじゃん。俺が魔法使いになったからって…」


俺は、頬に伝わった涙を腕でぬぐいながら、


「い、いや…そうじゃなくて…なんか急に…みんなのこと教えられて…今まで、俺ら四人だけだったのに…みんなも元気なんだってわかったら…急に涙が…」


そうなのだ。


俺たちは、美空さん、高田先生、稲田と、四人でこの異世界をさまよってきたが、一緒に修学旅行に来ていた同級生たちが、まだまだこの世界にいるのだ。


横山が助けに来てくれたのも嬉しかったが、それ以上に、みんなが無事でいてくれたことが、俺には嬉しかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ