表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/206

また地下牢に戻っちゃった

地下牢には、なんというか、大変微妙な空気が流れていた。


もちろん、俺のせいだ。


俺が、「俺たちを殺せば、光臨の剣の秘密は解けない」とか、


「光臨の剣の力を引き出すには、異界者の血が必要だ」とか、


ありえない嘘八百を並べたせいだ。


いや、ほんとにウソなのかな…?


もしかして、口からでまかせ言ったつもりが、ある種の本質というか、真実を口にしてしまったのでは…?


ともかく、俺たちはとりあえず処刑はまぬがれて、あのウインガーレイ候が入れられていた城の地下の牢獄に入れられていた。


身体は、もとの大きさに戻されていた。皮肉なことに、身体をもとに戻してくれたのは、あの教会の神父だった。


教会の神父は、俺たちの中で、レジスタンス側の人間なのでは? と期待していた人だったが、おそろしくよそよそしく魔法の儀式をして去って行っただけだった。


「結局、あの神父って、なんだったのかな?」


稲田がつぶやいた。


その声は、洞窟のような地下牢にこもって響いた。


ウインガーレイ候のときと同じく、とくに見張りは立てられてない。


「あのときは、周り中、衛兵が取り囲んでいたから、なにもできなかっただけよ」


高田先生が、落ち込んでいる様子の稲田を励ますように言った。


「俺もそう思う。あの神父がレジスタンス側ってことは、あの市場のお婆さんの手紙や、ウインガーレイ候の話ぶりから、間違いないよ」


「でも、たとえ味方だとしても、あの様子では、とてもここから私たちを出してくれそうにはないわ。ウインガーレイ候が殺されたことで、この土地の人たちの、ドリアムに対する恐怖感は倍増しているのよ。私たちが、自分で脱出するしかないわ」


美空さんがそう言った。


まったく、その通りだった。


「で、でも、どうやって…」


稲田がまたつぶやきかけたとき、何者かが、地下牢に降りてくる足音がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ