光臨の剣の秘密(ウソ)
「俺たちを殺したら、この光臨の剣は二度と使えなくなるぞ」
俺がとっさについたウソに、ドリアムは反応した。
「処刑直前の言葉が、そんなつまらん言い訳でいいのか? そのウソが、おまえの最期の言葉になるぞ」
そう言って、ドリアムは再び剣を構えなおした。
だが、その瞳には、わずかな動揺が感じられた。
俺は、みんなが助かるには、ここでドリアムを騙しとおすしかないと思い、さらにウソを重ねることにした。
「なぜ、魔法の鎖で地下牢に繋がれていたウインガーレイを、俺たちが脱獄させられたと思う? この光臨の剣で、魔法の鎖を切ったからだ」
ドリアムは、剣をかまえたまま、ぴくりとも動かない。
「見てのとおり、いまはこの剣は、ただの木の棒だ。だが、呪文をかければ、光臨の剣として起動する。あんたも見たはずだ。あのホテルで」
「たしかに、その剣が光臨の剣になるところは見た。おまえらが死んだ後、ゆっくり調べようと思っていたところだ」
「俺たちが死んだら、この剣の秘密は永遠に解けなくなるぞ!」
「なぜ? おまえらと、その剣とは、どんな関係がある?」
さりげなく尋ねられたが、その質問がドリアムの興味の核心であることは間違いなかった。
俺は、慎重に言葉を選びながら答えた。
「なぜ、イスマたちが、異界から俺たちを召喚したのか? そして、なぜ今、俺たちが光臨の剣を持っているのか? 光臨の剣が力を発揮するには、異界の血が必要なんだ‼︎」
「異界の血?」
ドリアムが、初めて露骨に興味を示した。