命がけの問答
「いやだいやだいやだ」
ウインガーレイ候の処刑をみた稲田が、狂ったように繰り返しつぶやいていた。
次は、俺たちが処刑される番だった。
なにしろ、俺たちは忍者のような女たちに捕まって、ドリアムの前に差し出されている立場だ。
その周りにはびっしりと城の衛兵たちが居並んでいる。
しかも、俺たちは小人サイズに縮んでいるのだ。
どう考えても、逃げられなかった。
絶体絶命というやつだ。
しかし、なんとかしなければ…。
俺は、必死で勇気をふりしぼって、ドリアムに話しかけた。
「な、なぜ、ウインガーレイ候を殺した?」
「んん?」
ドリアムは、まるではじめてこちらが話せることに気づいた、というような顔でこちらを見た。
「なにか言ったか?」
「なにも処刑しなくても、もとの牢獄に戻せばそれでよかったはずだ」
「言ったろう? やつを倒すことは、わたしの悲願だったのだ。それはそうと、おまえらには礼を言わねばな。おまえらが、やつを地下牢から連れ出してくれたので、堂々とやつを処刑することができた」
ドリアムは、そう言って薄く笑った。
「お、俺たちも殺す気か?」
「ふはは。当然だ、貴様らは、やつの脱獄を助けたらからな」
「お、俺たちを殺せば、この光臨の剣は二度と使えなくなるぞ」
なぜ、そんなことを言ったのか、自分でもよくわからなかった。
俺たちが殺されることと、光臨の剣になにか関係があるのか?
そんなこと、俺が知るわけがない。
ただ、このときは、とにかく何か言わなければ、とそれだけ考えていた。
ドリアムが、この剣を気にかけていたのは、ホテルで戦ったときにわかっていたので、とっさに口からでまかせが出たわけだ。
だが、でまかせにしては、これは意外と効果があった。
ドリアムの目の光が、微妙に変化したのだ。