表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/206

新しい服

サーシャが服を脱いで、風呂に入るあいだ、俺と稲田だけは、もとの隣の部屋のタンスの上に押し込められた。


美空さんが、ばっちり俺たちを見張っている。


なんだか、完全に覗き犯の扱いだ…。


やがて、


「もういいわよ」


と、高田先生から声がかかった。


浴室が見える位置にもどると、サーシャは、湯船に浸かって、すっかりくつろいでいるのが見えた。


あの凄腕の護衛兼女中は、脱衣スペースの端に、タオルを持って控えている。


サーシャが風呂からあがると、すぐにタオルをわたすのだろう。


サーシャは、湯船の中でじっと動かず、なにか考え事でもしてるみたいだ。


もしかしたら、俺たちをどういうふうに死刑にするか、考えているのかもしれない。


そうしているうちに、また別の女中が浴室に入ってきた。


サーシャの新しい服を持ってきたようだ。


女中は、新しい服をカゴに入れると、かわりにさっきサーシャが脱いだ服を持って、すぐに部屋を出ていった。


「チャンスじゃ!」


ウインガーレイ侯が、またささやいた。


だが、こんどは、すぐには動き出さない。


「チャンスって? どういうことすか?」


「さっきの女中が持ってきた服じゃ!」


「あの新しい服?」


「鈍いやつじゃな。あの服にまぎれて待つんじゃ! そうすれば、サーシャのほうから、やって来てくれるんじゃ! あの護衛より速くサーシャに近づきさえすれば、わしらの勝ちなんじゃ!」


なるほど…。


たしかに名案かもしれない。


だが、


「服に近づくときに、あの護衛に見つからないすかね?」


俺は、素朴な疑問をぶつけてみた。


「なにもなければ、見つかるじゃろうな」


「なにもなければ?」


「誰かが、あいつの注意を引けばよいのじゃ!」


「誰かが?」


「え〜い、鈍いやつじゃな。お主が、おとりになるんじゃ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ