これがわしの作戦じゃ‼︎
ウインガーレイ侯の鎖を断ち切ることに成功した俺たちは、城から脱出することにした。
だが、俺たちはもともと城内の見学を名目に、ここに来たのだ。
ウインガーレイ侯を連れて城内を移動すれば、目立ってすぐに見つかってしまう。
どうするべきか、迷う俺たちに、侯は力強く断言した。
「案ずるな! わしに策がある‼︎」
「どういう策ですか?」
「とりあえず、階段を登って地上に出るのじゃ。そこで、わしの策を披露しよう」
というわけで、俺たちはやって来たときに降った階段を、今度は登った。
ウインガーレイ侯は、四年も牢獄に入れられていた老人とは思えない体力で、俺たちの誰よりもはやく階段を登った。
「こういう日がいつ来てもいいように、日頃から鍛錬を怠らなかったんじゃ」
侯はそう言って、軽々と登っていった。
それに対して、こちらはもともと、ただの高校生だ。しかも、運動不足気味の…。
「あの…そんなにお元気なら…この剣は…返しておきましょうか?」
俺は、光臨の剣を侯に差し出した。
剣は、すでに光をなくし、もとの木刀に戻っていた。
「もともと、あなたの剣なんですよね?」
「いや、それはすでにお主のものじゃ。お主が握らなければ、力は発揮しない」
「そ、そういうものですか…」
「そのいうものじゃ」
どうにか階段を登りきった俺たちは、城の調理場の裏手に出た。
問題は、ここからどうするか、だが…。
「え〜と…。その、策っていうのは…?」
「うむ。みな、これを飲むのじゃ」
ウインガーレイ侯は、懐から小さな丸薬を取り出すと、全員に配った。
「おっと…。あんたは不要じゃ」
美空さんだけは、渡してもらえない。
「これは、身体が縮む薬じゃからな」
「身体が縮む⁉︎」
「いまから全員、これを飲んで、小人になるんじゃ! それから城を脱出する! これがわしの作戦じゃ‼︎」
「ええーっ⁉︎」