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お出かけ 兄視点

タイトル通り、前話の兄視点です。

恵奈兄の名前は、秋月 一色、あきづき いっしき、ですよ。念のため。

追記:あまりにも拙すぎたので、これまでの話を少し改変しました。少し表現などを足しただけですので、読み直す必要はありません。すみませんでした。

9/14 00:42 改正

「兄さん、ちょっと出かけてくる」


昼食を食べ終えた後、可愛い可愛い恵奈が放った言葉。

特に荷物も持たずに言うので、おそらくランニングとかその辺だろう。

しかし、先読みみたいな事をすると恵奈はつまらなそうな顔をしてしまう。

だから普通に対応する。


「んー、どこにだい?」


「いや、外でもまわってこうかなーと…」


窓を覗いてみると、天気は良い。しかしとても暑そうである。


「恵奈、お兄ちゃんも付いて行っていいかい?今回だけでいいから」


付いて行くのには、2つの理由がある。

この暑さでやられないか心配なのと、女の子になったばかりで警戒心の欠片も無い事の心配だ。

結局は全て心配からきている。


「? 別にいいけど……?」


不思議そうに了承する恵奈。そんな恵奈も可愛い。

しかし、了承を得られた。早く準備しなければ。

恵奈に伝えるべく事を伝えておくと、階段を上り、自室へ入る。



パッと見は、極普通の部屋に見えるだろう。

だが、タンス、クローゼット、机の引き出し。

これらの収納スペースを覗いてみると、普通ではありえないような物が入っていたりする。


クローゼットは二つある。恵奈用と、兄、一色用である。

黄色いランニングウェアを取り出し、手早く着替えをすますと、恵奈の待つ玄関へと向かう。




玄関には白いワンピース姿の恵奈が待っていた。ワンピースでランニングというのは微妙な光景だと思うだろう。

しかし、恵奈ならばむしろ絵になると思う。いや、絶対になるだろう。

兄としての弟(妹)を見る目としての可愛い、というだけではない。

一般的に見ても、美しいのだ。


だから大丈夫だ。

そんな間に、恵奈が玄関の扉を開ける。

開けて数秒に放った言葉が


「暑い……」


「暑いね」


恵奈はとても気だるそうに言う。日焼け止めを塗らせておいてよかった。

暑いというのは、一色も同意なのだが、恵奈のようにだるそうにしたりはしない。

兄としての無駄なプライドだ。

それはそれとして、ずっとだらりとしている恵奈に声をかける。


「恵奈何してるんだい。走って、いい汗流してお兄ちゃんと一緒にお風呂に

入ろうじゃないか!」


しまった、つい本音が出てしまった。こうなると、次の言葉は目に見えている。


「一緒には入らないよ」


「そんな!」


分かっていてもガッカリするものだ。

わりと本気でがっくりとしていると、恵奈は先に行ってしまった。

一瞬焦ったが、これはこれで丁度良いかもしれない。


なるべくゆっくりと走り、恵奈の後ろを伺う。

すると案の定、男が集まる。

大体予想はしていた。こんなに美しい子が走っているのだ。どんな人でも、一度は目がいってしまうだろう。

そういう奴等は構わないのだが、声を掛けようとする奴を一色は許さない。

近寄ろうとしているのは、高校生の男2人。ジャージからして、恵奈とは関係無い所の高校だ。

愚か者め。これからも恵奈と関わりを持たなさそうな者達など、恵奈の視界にすら入れてたまるものか。


「ちょっと君達、いいかな」



高校生達とお話をしてから、ゆっくりと恵奈の後を追う。

高校生の少年達はガラが悪い感じだったが、少し睨んでやってお話したら、それでもう帰って行った。

大学生でありながら、大人気ない気もするが気にしない。


暑そうではあるが、やはり運動好きだ。横からだが、とても良い笑顔をして走っている。

眺めているとこちらに気づいた。


「兄さん!ワンピース超走りづらいじゃないか!」


声を荒げて言う恵奈。これは説明をしてやったほうがいいかもしれない。


「そうだね。でも恵奈、美しい声をしているのに、そんなに声を荒げるものじゃないよ」


「いや、その、えと、あーもう……」


「そうだねぇ、ワンピースだと暑くて汗をかくから、いい運動になるんじゃ

ないかとね」


「え、そうだったの?ご、ごめん……」


何も説明しなかったこちらが悪いと思うのだが、謝ってくる。

まあ、説明しなかったのも、聞いてこなかったからなのだが。


特に会話なく町内を一周し、自宅へと戻ってくる。

とても有意義な時間を過ごせたと思う。

恵奈に抱きつくことが出来て、そしてなにより、恵奈の純粋な笑顔が見られた事だ。

今はさすがに息を切らしてぐったりしているが。


「恵奈、随分体力落ちたんじゃないかな?」


「そうだね………途中兄さんが抱きついてこなければ、こんなに汗掻かなか

ったと思う…」


それについては、正直悪かったと思っている。

しかし、これにも重要な理由がある。

「お兄ちゃんは、恵奈成分を定期的に補給していないと干からびちゃうんだよ?ああ、嫌々ながらもおとなしく抱きつかれていた恵奈……はぁはぁ……っ痛い痛い、すねはやめなさい。やめなさい恵奈、お兄ちゃん死んじゃう」


恵奈があまりにも強くすねを蹴ってくるので、これはさすがに効いた。

しかし普段からこっそり鍛えている身としては、その程度の痛みでは屈しない。


「ああ、それと恵奈」


「なに?」


「ごちそうさまでした。早くお風呂に入っちゃいなさい」


「……?」


恵奈は気づいていないようだが、十分満足できた。

女の子になった昨日から、あまり笑顔を見せる事がなくなった恵奈。

だんだん元気になってきているし、様子を見る限り本人も気にしていないようだが、兄としては不安がある。


しかしこれで安心した。好きなことをして、純粋な笑顔を見られた。

本当に気落ちしている人間は、楽しいことをしていても本気で楽しいとは思えないと思う。

少なくとも恵奈は、今まで見てきた通りならばそうだ。

これで悩む事もなく、安心して寝る事が出来る。

先に家に入り、いつものようにリビングのソファーに横になり、呟く。


「恵奈、ちゃんと風呂入れるかねぇ……」


苦笑し、まあいいか、という結論に至り、やっと睡眠を取る。



リアルで用事が入りまくり、忙しいので次の更新は土曜になります…。

読んでくださっている皆様、大変申し訳ありません。

どうかこれからも読んで頂けると、嬉しいです!



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