新たな問題
遅くなり、すみません。そして、登録ありがとうございます!これからもがんばります。
問題は片付いた。かのように思われたが、まだ片付いていない問題がある。
今日の分の、俺の服である。
女物の服は明日届くと兄は言っていたが、では今日の分の服はどうするのかと、また兄は言ったのだ。
別に今ある男物の服でも良いと思うのだが、兄がそれを許さなかった。
兄曰く、「恵奈みたいな和風美女に、男物の洋服が似合うわけがない!」と。
誰が美女だ。とは思うものの、実際美女なのだから仕方がない。
というわけで、兄が自分の部屋に戻った。多分、服を取りに行ったのだろうと思う。
兄はたくさん服を持っている。主に俺に着せるためだが。
兄の事だから、メイド服やナース服、巫女服とか持っていそうだ。
以前、俺がまだ男だった時に女物の服を無理矢理着せようとしてきたからだ。その時、まだまだたくさんあるようだったが。
まあ、兄はそういう危ない人だ。
さて、どんな服を持ってくるのだろうか。なるべく普通の服を持ってきて欲しいものだ。
どんなものを持ってくるか想像していると、階段を下りて兄が戻ってきた。
「恵奈!どれが着たい!?どれを着たい!?いや、どれも着てくれ!!」
最後がよく分からない。というか、10着以上あるのだが……。
「メイド服にナース服!巫女服もあるな!!」
一番的中して欲しくない予想が的中してしまった。
だいだい、そんなものを着てどうしろと言うのか。
「なんでそんなの着なきゃいけないんだよ……せめて普通のは無いの?」
「恵奈、もっと上品な口調にはできないのかい?」
「……お兄さん、おせめてお普通のお洋服はおありませんか?」
「ごめん、お兄ちゃんが悪かったよ」
本気ですまなそうに謝る兄に、ちょっぴり罪悪感を感じた。
「まあ家の中ではいいけど、外では外見にあった口調を心がけるんだよ。違
和感があるからね」
それはするつもりだ。さすがに外でも今までの口調を使ったら、なんだかあれだから。
「まあ、しょうがないか……。恵奈がそんなに望むのなら、普通のにしてあげるよ」
兄は一体何様なのか。兄の趣向に付き合っているというのに。
メイド服ナース服巫女服等々を部屋に戻してくると、すぐ戻ってきた。
その手には清楚な感じの真っ白いワンピース、その他諸々と……
自室。なんとか着替え終えた。着け方はなんとなくでやったが、違和感は無いはずだ。
最後に、ワンピースを着る。
……さて、何があったかと言うと、兄の手にはワンピースと女物の下着があ
ったのだ。
いやだ、と何度も拒絶しているうちに、兄は「しょうがない。お兄ちゃんが着させてあげよう。ほら、脱いで」
と手をワキワキしてきたので、すぐさま受け取り自室へダッシュしたのだ。
もちろん鍵をかけて。
力で兄には勝てない。即ち、無理矢理着替えさせる事など兄にとって簡単なことだった。
だからそうなる前に、自分で着替えたのだ。
「恵奈、着替え終えたかい?はぁ……残念だよ、お兄ちゃんが手伝ってあげ
ようと思ったのに」
落ち込んだようなセリフを言っているが、声はどうしようもなく変態のそれだ。
しかし、着けるのに苦労した。次からは素早く着ることができそうだが。
黙ってドアを開けると、すぐ前に兄がいて少し吃驚した。
「おおおおお!恵奈、似合っているよ!」
兄が大歓喜。そんなにかわいいのだろうか。
「恵奈、鏡を見てごらん」
渡されたのは手鏡。鏡には、きょとん、とした顔が映る。
それはいいけど、全体を見なきゃ服とか分からないって兄さん…。
とはいえ、顔立ちがとても好みだった。
美しく、しかしまだ高校生、という顔。
兄の言っていた和風美女というのもうなずける。
思えば、この見た目で俺とか言っていたのか。すごい違和感だ。
これは兄の言う通り、口調を改めなければならないかもしれない。
学校だって、どうやら俺は転校生で、1年生からまたやり直しらしいし。
前は2年生だった。
しかし慣れないと、これから同級生となる人たちに、後輩という認識をもってしまいそうだ。
2年生だから。元だけど。
「恵奈、いつまで固まっているんだい?」
「あ、なんでもないよ」
しまった、手鏡を持ったまま思い耽っていた。
「……ふむ。女の子になって細くなったな、恵奈」
自分でもそう思う。腕はまさに女の子のそれだし。
これでは、だいぶ力も落ちてると思う。
「そうだね」
なんとも言えない気持ちで、簡単な返事しかできなかった。
「さて、そろそろお昼だね。よし!お兄ちゃんが手料理を…」
「俺が作るよ兄さん」
今日も平和だ。
長めのを書くと言いましたが、結局ストック行きになりました……すみません。なるべく、毎日更新していきたいですね。