表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

混乱と安堵

お気に入り登録、評価、ありがとうございます!嬉しくてどうしようもないです。


※矛盾している所を修正しました。

ああ、今回こそ俺は死んでしまったのだろうか?

………いや、意識はハッキリしているし、何より体が動く。


とにかく今どこにいるのか気になり上半身を起こし、恐る恐る目を開くと、兄の部屋が映った。

どうやらベッドに寝かせてくれていたらしく、心地が良い。


…そうだ、俺はあの料理(異物)を食べて、気を失ったんだ。

しかし驚いた事に、意外とおいしかった。

真っ黒の米、青くて異臭を放つトマトのようなもの丸ごと。


あんな、最早食べ物と呼べるかも不明なモノがおいしかった。本当に、料理工程を見てみたい。

でもなぜ気絶するのかは、欠片も分からない。これはいくら考えても分からない事だと思う。


さて、料理の話は置いて。

となりを見ると、兄が熟睡している。時計を見ると深夜の2時だ。

料理を食べたのが、昼頃12時ぐらい。

しまった。午後からも部活があったというのに、思い切り寝過ごした。

しかし慌てても時間は戻らない。兄に感謝しながら、再び寝ようとしたとき思った。


さっきから頭が重い。だるいとか、風邪ひいた時の感じではない。なんか、こう……。

何か乗っているのだろうかと頭を触ってみると、サラサラした髪。

ここまではいい。

しかし、後頭部の方へ手を持っていくと、最終的に背中辺りまで髪が伸びていた。

かつらでも被せられたのかと思い引っ張っても、ただ痛いだけで、はがれない。

………実は、上半身を起こした時から、胸が重いと思っていた。


一度深呼吸し、落ち着いてから確認を試みる。傍から見たら、きっとすごくぎこちない動きだと思う。

下を向くと、形良し大きさ良しの胸が、そこにあった。

どういう事だ。説明を求めるが、そんな相手はいないし、相手も分からないだろう。

このままでもどうしようも無いので、洗面所に向かう事にした。

ベッドから立ち上がろうとし……。


「ん……ふぁぁ……お、恵奈、起きたのか!」


なんてタイミングで起きてくるんだ。

寝起きでしかも、訳の分からない状況だ。頭が混乱していて、何も喋る事ができない。さっきまでは普通に考える事ができたのだが、兄をみて安心してしまったのだろうか。


「……ん?恵奈……だな。この匂いは間違い無く恵奈だ!可愛くなったな恵


奈、前からかわいかったのにまた一段と…」


「…………」


「…恵奈、混乱しているんだね」


何か言いたくても、混乱していて何も答えられない。考えられない。どうすればいいのか分からない。


「大丈夫、お兄ちゃんがついてるよ……安心して…」


大丈夫、安心して、という言葉を繰り返している。

覚えてる。確か、俺が小学生の頃も兄はこうして、慰めたり落ち着かせてくれたっけ…。

段々と落ち着いてきた。

自分はここまで、兄に依存していたのかと今更思った。

小学生の頃のように、兄にすがりついて泣いている自分を、情けなく思った。

そしてそれ以上に、兄の暖かい懐で、安心した。




<兄視点>


目が覚めると美少女が、恵奈の寝ているはずのベッドから立ち上がろうとしていた。

そして、恵奈のいない事に不安を覚えるより先に、この少女が恵奈だと感じた。

最初はなんとなくだった。しかし、普段から恵奈を誰よりも愛し、誰よりも見てきた自分からしたら、

細かい動作の一つ一つや、どのような時にどのような表情をするのかという事すら分かっている。


おそらく10秒も経たない内に、弟だな、と思った。

しかし、弟が突然少女になっていて、頭が混乱しそうになった。

だが弟の恵奈が、一番混乱していることだろう。

様子を見ていると案の定、恵奈は混乱しているようだった。今にも泣きそうな表情をしている。


混乱している弟の前で、兄である自分が取り乱せようか。

平常心を保ち、恵奈をベッドに座らせ、言い聞かせる。

大丈夫、お兄ちゃんがついている、安心して、と。

恵奈が小学生の頃、いや幼稚園生の頃から聞かせてきた。

いくら成長していようが、感情は変わらないから。でも高校生にもなって、兄に抱きつかれるのは嫌だろう、との配慮だ。

のちに、混乱しているのだから、むしろ抱きついて安心させた方が良いだろうと思ったが、後の祭りだ。


少しずつ、平常心を取り戻しているようだった。

そして、驚いた。なんと弟が、泣き出すと共に抱き付いて来たのだ。

もちろん、嫌ではない。むしろ嬉しいし、不謹慎ながら、少女になった今では更に嬉しい。

しばらくして泣きつかれたのか、安心したのか。恵奈はすやすやと安定した寝息をたてている。

ゆっくりとベッドに寝かせ、優しく布団を掛ける。

さて、こんな時間だ。どうしようかは明日から考えよう。

そのまま床に横になる。

今日は恵奈と同じ部屋で寝る事にした。


恵奈の容姿を挟みたかったのですが、雰囲気的に無理そうだったので次回。


放つ言葉そのままの印象で、人を判断してはいけません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ