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鉄牢  作者: りょう
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ブロンズゲージ

今回はゲーム内通貨の説明です。

はい、それだけです。



そこは薄明かりで なんとか人が動いていることがわかるくらい暗い部屋らしかった。

たまたま、ヨルムの町で行われていた、ブロンズゲージの会場に、

興味本位で入ったところ、そこは薄暗い部屋のようなところだった。

なんとなく、人影が動いているのがモニター越しに見えるが、意図的にぼかされていて、

部屋の広さも判別できない。

ただ、かすかに奥の方に光らしいピンスポットが天井から光源として差し込んでいる。

かなり広い部屋なのだろうか?

そして、ヘッドホンを通して聞こえてくる人の息遣いと何となくだが熱気のようなもの、

身の危険は市街地であるから感じなくても良いし...


会場内には集まった人々のささやき声が聞こえている。

あちこちで追加の賭けが始まっているようだ。

ここは、鉄牢のサーバー ベガにある城塞都市ヨルム

今回のブロンズゲージの開催会場だ。

鉄牢は、マギウス社が配信するRMTリアルマネートレード推奨のMMORPGだが、

正式名称はアイアンゲージと呼ぶらしい。表記が鉄牢なので...

その特筆すべきは、魔法職をそぎ落としたことと

盗賊職をクローズアップしたダンジョン探索ゲームシステムにある。

プレイヤーがマネーを得るためには、大量の敵を倒して報奨金をもらうか、

ダンジョンに潜ってその宝をGetするか、

または生産スキルを取得してゲーム内で生産したアイテムを販売するか。

大きく分けてそのいずれかになる。

しかし、その全ての行為は情報に左右されるといって良い。


たとえば、どこのフィールドにどんな敵がいるのか、

その敵の強さは?ドロップアイテムは?


たとえば、ダンジョンはいったいどこにあるのか?

そこで遭遇する敵は?どんな罠がある?


たとえば、現在一番売れているアイテムは何なのか?


全てが、取引材料となる。

それらの情報を一番掌握しているのが意外なことに盗賊ギルドだ。

商人ギルドでも管理しているようだが、こちらは運営によるため、情報の鮮度に欠ける。

そのため、商人も、最新の情報は盗賊ギルドから仕入れているらしい。

話がそれたが、鉄牢において、盗賊の優遇さ、重要性は比類なきものといって良い。

そして、4ヶ月に一度開かれる、盗賊の祭典、通称ブロンズゲージがここ、

ヨルムで今まさにおこなわれようとしている。


「諸君、今年もまたこの鳥かごには雛鳥が生まれた。

今回挑戦する雛鳥達は、見事にこの鳥かごから逃げることができるのか!

さあ、開催しよう、今年のゲージを!」

司会 というより主催者のヨルム領主の宣言により、いっせいに室内の明かりが灯る。

そこは確かに室内だった。

ビックエッグ?すり鉢状の底面に広大な鉄のオリとそこから延びる迷宮へ続く道、

天井からはモニター画面のような巨大なパネルが何枚もぶら下がり、それぞれに

巨大な鳥かごを模した鉄の牢屋の中の8人のプレイヤを写していた。

鳥かごからの出口は10本、いずれも3メートル程の高さの壁により仕切られた、

一種の迷路になっている。

この競技は、一番早くこの牢獄から、迷路を踏破して脱出できるかを競う、

迷路は随所に致死性の罠が仕掛けられており、

また全ての道が出口に続いているわけではない。

8人のプレイヤーに渡されているのは、松明と、ナイフのみ、

後は個人で調達した仕事道具だ。

これは、SASUKE?

某人気季節物企画のTV番組のようだ。

会場に入り、人の流れに逆らわず、

気がつくと会場が見渡せる観客席の中段くらいにある踊り場にいた。

「にいちゃん、にいちゃん、掛けねえのか?」

不意に後ろから声がしたと思うと、

赤い髪の中年の男がオッズ表を片手にモニターに入ってきた。笑っている。

NPCだ、たぶん。この強引さはプレイヤーじゃない。

というかプレイヤーだったら尊敬する。きっと。

「一口銀貨3枚からだ、一番人気はベルク、1.5倍だ、」

「銀貨3枚?高いな。コルは?」

「にいちゃん、冒険者か、すまねぇがコルはやってねぇんだ。

銀貨のみだ。もってねぇのか?」

「持ち合わせがないな。」

「しょうがねぇな。ゲージ見物に来て賭けをしねぇなんて、何しにきたんだか...」

金がないとわかったとたん男の愛想笑いが消えた。

と思ったらブツブツいいながら画面から遠ざかっていった。

嫌にリアルだ。

通貨は実は持ってたんだよな。

鉄牢の世界はお金についてややこしい設定がされている。

NPC間で流通する「通貨」と、

プレイヤー、NPCが言うところの冒険者固有の貨幣 「コロ」 である。

商人ギルドで「コロ」は通貨と両替してもらえるが、

その際マギウス社に手数料として両替金額の1%を支払うことになる。

ちなみに端数は切り上げだ。

また、RMTはコロからのみ変更可能だが、鉄牢内では一般には通貨が主流で、

コロでのやり取りはほとんどできない。

たとえるならドルを使って日本で買い物するのと同じ感じ。

ついでに円との比較をすると、

1,000コロ=1円


小銅貨1枚0.02円=50コロ

銅貨1枚0.1円=100コロ

小銀貨1枚2円=2,000コロ

 銀貨1枚100円=100,000コロ(0.1K)

小金貨1枚2,000円=2,000,000コロ(2K)

 金貨1枚10,000円=10,000,000コロ(10K)

 晶貨1枚200,000円=200,000,000コロ(200K)

となる。

ネットマネーの換金は3000円からになるため3000円分をコロとして購入し、

両替すると小金貨1枚と銀貨10枚になるのだが、

1%の手数料が取られるため、小金貨1枚と銀貨9枚、小銀貨35枚になる。


誠にややこしい。


何で、ゲーム内貨幣が2種類設定されているのか?

こんなゲーム聞いたことがない。

RMTの際運営側が課金するから、とか ゲームの世界観だとか、

色々言われているが、もちろん公式の説明はなされていない。

(マギウス社の公式HPには、RMTについての説明はされている。)

「運営としてはRMTで利益を出すことはまずレベルをあげなくては難しいと思います。」とか書いてあった。byリク

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