災い来りて
皆さんは、友達がいますか。
それは本当に友達でしたか?
厄介事は押しつけられていませんか?
理不尽と不条理の相違について考察しているリクですが、
この問いかけで心をえぐられている方がきっといると思います。
仲間です。
アルタイルの始まりの町は 中世ヨーロッパの、と言ってもよく知らないけど、
なんだかそんな感じの街並みが続いている。
それは、石畳の広場と同じ高さに揃えられた、
石つくりの3階建てくらいの家が整然と並んでいる風景であり、
同じカラーリング、同じような窓の形、同じようなデザインの建物が、
規則正しく並んでいる。
都市の建設者が、初めから同じデザインの家を作らせ徹底したように見える。
その中で、ひときわ大きくそびえ立つのが、中心広場に面している商店街の中にあって
デザインを異にする、黒いオベリスクのような、始まりの塔だ。
近づいてみると、いま その塔の前で情報屋の師匠がナンパしている。
いや、初心者と思われる女の子に声をかけている。一緒か。
なんだかなぁ。
女の子は茶色の皮鎧にオレンジの髪が鮮やかだ。
おまけにチャット板を使っているため何を言っているのかこの距離でも読める。
チャット板はアバターの頭上に現れるので周りのプレイヤーもチラチラ見ている。
師匠もチャット板でナンパを継続している。さすがだ。
「すみません、知り合いを待っているので、ほっておいてくれませんか。」
「しかし、初心者の貴方はまだボイスチャットすら使えないようだし、
宜しければ私が教えて差し上げますが。」
「いえ、大丈夫です。もうすぐ来るはずなので。」
「そうですか。失礼ですがお友達はこのゲーム長いんですか?」
「さぁ、先ほど聞いたもので、よくわかりません。」
「では、友達が来られたらご一緒に私の話を聞きませんか?」
「それは、友だちに任せようと思いますので、
迷惑なんですよね。
そこで話しかけられると。
友人が見つけてくれないかもしれないので、
用がないなら話しかけないでくれませんか!」
あ~女の子が切れた。
師匠なんでそんなに食いつくかなぁ。
そこで、こちらをむいてる彼女に気がついた。
彼女はこちらに向かって歩いてくる。
購入品のグローブと革の軽装鎧、赤い膝あてとオレンジのショートカット。
「遅いのよ 陸、何してたの?」
チャット板が頭の上に浮かぶ。
慌てて携帯電話をかけた。
「ふぅー いきなりチャット板に個人情報流すのはやめてくれ。」
「個人情報って何よ!
ボイスチャットなんか誰も教えてくれないんだから仕方ないでしょ。」
「師匠が教えてくれるゆったじゃんか。」
「あのナンパヤローに教えてもらってもよかったの?あ~もう信じられない。」
「俺もお前が信じられないよ、なんで佑に聞いてすぐ登録するかな?」
「私だってゲームくらいしたいのよ、知り合いがいたほうが楽じゃない。」
「その高級な鎧と武器があれば大抵の敵には勝てるからw」
そうなんだよな、美香の付けてる鎧は、天馬の鎧、軽装備の鎧の中で最高峰、
ここらへんの敵では傷をつけることも難しいだろうな。
手につけているグローブは、黒狼の牙、
当てると雷の追加ダメージが30%の割合で発動する。
マジックアイテムだ。
深紅のすね当ては移動力をパーティの最速の者に合わせる効果がある。
接近戦の達人 戦士の格闘スタイルだ。
でも、普通戦士職は槍とか斧を持つんだけど、なぜ格闘家スタイルなんだ?
「美香はなんで格闘家スタイルなんて選んだの?」
「それは、かっこよかったからよ。敵の攻撃を華麗に受け流し、
必殺の拳と蹴りを叩き込む。スカッとしそうじゃない。」
そうなのか、まぁいいさ。現実の美香もそんな感じだし。
「それで、美香、なんでこのゲームを始めたの?」
「それはね、うん、最近陸が英語の課題をやってこないから、
お母さんに聞いてみたら、ずーっとゲームしてるって言うし、
佑くんに聞いても、ゲーム脳になりつつあるって言うし、
おまけに今日は徹夜明けで学校来てるし、
陸がダメになる前に、私が陸を止めなきゃなって思ったのよ。」
そっまぁそんなことだろうと思った。
でも、そのために1万以上の装備買うか普通。
このゲームで稼ぐから先行投資だそうですが...
まずは、携帯片手でボイスチャットの仕方を教えて、
訓練場で簡単な戦い方を教えて、
画面のモード切替のやり方と、
特定の人に話しかける方法を教えて、
ショップで買い物したら
寝る時間になってしまいました。
本日の成果無しです。
かなり、心をえぐる発言があったので、詳細は割愛しました。
さらっと流しましょう。切り替えないとね。
あすは迷宮に入ってみたいと思います。
佑も呼んで....
被害の分散はしないとね。




