プロローグ、残酷な愛の唄…。
終焉の曲が奏でられる…。
僕のタクトが振るわれ、君の唄を導いていく。始まりがあれば必ず終わりがある。
「さよなら…。」
それが精一杯の別れの言葉だった。僕は夜が明ければ朝が来て、学校に行って皆とばか騒ぎして、先生に叱られて、たまには恋をしたり、友人と喧嘩したり、仲直りして…。そして当たり前のようにして夜が来て朝がまた来る。そんな日々が当たり前のように続くと信じきっていた…。
だが、現実は違った。
始まりがあれば必ず終わりが来る。これは必然だ。どんな運命も抗うことは許されない…。
君の唄はとても美しい…。非情なまでのその美しい唄は僕と君の愛の唄…。忘れられない恋の唄…。
「あぁ…美しい。壊れてしまうほどに…。」
そう、これは破滅の唄…。世界を終焉に導く最高美にして最悪の唄………。
僕のタクトが振るわれる。世界の終焉へ導くために、君の愛を奏でるために…。
ああ!終わる僕と君の唄が変わることのなかった僕らの日常が!!
この世界と共に僕らの愛と共に!!
明日の朝は来ない…。この夜が明けることはない。
僕は泣いていた、表情に現さず、声に現さず、この曲にすべてを乗せて………。
そう、此は世界の終わりの物語…。
僕と彼女の愛の話…………………………。
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