神の裁き
「何だこの揺れは!?」
僕たちは突然の不自然な揺れに驚いていた。
「……神の裁きか」
目隠しをしていたネークが慣れた口調で言った。
神の裁き?ネークの口調からするとよくあることなのか?
「心見さん。これはよくあることなのか!?」
「……はい。私たちフォルスが生まれてから神が何とか私たちを殺そうとして――」
ドンッ!
話の途中で何かが爆発した音と強い爆風が襲ってきた。
「ちっ、実験室の薬品がスプリンクラーの水と反応したようだ」
「え!?火災は起きていないはずでは――」
ドンッ!
また爆発が起きたようだ。
心見さんは見たところ、身体能力は普通の女の子と同じぐらいだ。このままでは焼け死んでしまう。
「くそっ、いつまでこの揺れは続くんだ!」
そう言って僕は実験室へ向かおうと走った。
「待ってくださいイールさん!いくらフォルスでも無茶です!」
心見さんは僕を呼び止めたが、無視して走っていった。なぜなら、爆発はエネルギーによって起きる現象だと知っていたからだ。
反応と同時にエネルギー吸収を行えば爆発は防げる。そして、炎は発熱反応。エネルギーを系外へ熱として放出する反応だから吸収できる。
「だあぁぁぁぁ!!」
エネルギーを吸収する電気を放ちながら走った。通ったところの炎が次々と消えてゆく。
「ここが実験室――!?」
実験室に着いた瞬間、今までよりも大きな爆発が起こり、それと同じぐらいの爆風が襲った。……がここに来る間に吸収したエネルギーがあったので踏ん張ることはできた。
「さすがにきついな……」
そんなことをつぶやいたが今それどころではない。
早くスプリンクラーの元栓を締めないとまた爆発が起きるかもしれない。
そう思い実験室に飛び込んだ。しかし、すでにスプリンクラーは止まっており、薬品が床に溜まった水と反応していた。
「もう止まってたのはラッキーだな。……それより確か水は電気で分解できるんだよな」
とりあえず放電するか。
そして、一気に電気を放った。
予想どうり水は分解され、水素と酸素に分かれた。……がそれはさらに危険につながる行為だった。
水素と酸素。
水素は炎と反応し、爆発して水を発生させる分子。そして酸素は炎と反応し、より炎を強大にする。
「しまった!!」
すぐそのことに気づき、爆発を阻止しようと吸収の電気を放った。そして、それも予想どうり阻止できた。
……が、そのエネルギーの量は体のエネルギーを蓄えられる許容範囲を超えていた。
「ぐああぁぁぁ……!!」
くそぉ、薬品と水の反応を時間を掛けていれば――
後悔と苦痛が体中をめぐり意識がもうろうとし、その場に倒れた。
前の投稿からだいぶ時間が空いてしまいすみませんでした。
エネルギー吸収は思いつきでしたが、そこら辺は得意なので思っていたよりスラスラと書けました。
今後もよろしくお願いします。