仲間
神の兄と話し、従うことにした。しかし、神の殺し方はわからない。地上のものが、神に会う方法もわからない。これでは意味がない。
神の兄に聞いてみると、忘れたと言われ、前に教えた『創ったもの』に聞けと言われた。さらに、自分が創ったにもかかわらず、居場所はわからないと言われた。
神ではないから仕方ないと思うが、僕に話しかけれたのだから、わかるはずだと思った。それも聞いてみると、あの場所だけしか自ら話すことはできないと言われた。因みに僕には話せるらしい。
正直、無責任だ。
「さて、どうしたものだろうか」
僕の人間と違うところは、目が白いところと体内で大量の電気を生み出すことができ、それを放つことができるところ。また、他のものからエネルギーを奪うことができる。
僕の知識の中ではドレインと言う名の能力が一番ふさわしいだろう。
「はぁ~」
ため息をし、どうやって探すかを考えた。
神の兄(以下ヴァル)の話では僕12031回目で創られたらしく、それだけ創っても、僕のように完成したものは僕をあわせてたったの3人で、他に失敗作だが生きていけるものが2000人いる。
失敗作でも生きていけるものは、
一定周期に吸血行為しないと死んでしまうもの。
孤独になると死んでしまうもの。
20年しか生きられないもの。
など、人間が妖怪などと呼んでいるものだった。
「2002分の2か……人間とそうでないもの(以下イード)見分けるのも難しいのに、そのイードの中から完成したもの(以下フォルス)を見つけ出すのは……無理があるだろ」
呆れてつぶやくと、ねぇ?と後ろから声を掛けられた。
「なんだ?」
振り返って見てみると高校生の制服を着た女性だった。
「あなたが探してる完成したものってもしかしてフォルス?」
――!?フォルスを知っている!?確かに人間に教えるイードもいるだろう。しかし、高校生だ。名前は聞いたことがあるにしても意味を知っているはずがない。
「……知っているのか?」
思わず聞き返してしまった。そのことに気づいて目をそらした。
「うん。なんか私の学校で自分のことフォルスだって言ってフォルスを探している人がいたから」
思わずガッツポーズをしたくなるような情報だ。こんなにも早く見つかるとわ思っていなかった。
「え!?何ていう名前?その学校」
女性に学校名を聞くと、お礼を言ってその学校へと向かった。
その学校はここからあまり遠くではなかった。とても近く、歩いても10分の所にあった。
学校に着くと迷わず入ったが、関係者以外立ち入り禁止と言うこともあって、大人たちに捕まった。しかし、もうすでに放課後。急がないと帰ってしまうかもしれない。
そういうあせりが出てくると、体から電気が放たれた。
初めてだから驚いたが、その電気は攻撃のためのものではないとわかった。
それは吸収するものだった。
大人たちは息を切らし、倒れた。
「この能力のおかげで助かったか……」
あせりで気づかなかったが、気配を感じていた。それはフォルスのものだと思った。なぜならその気配は親近感が感じられたからだ。
そしてその気配がする方へ走った。
何度か大人に捕まったが、気配は最初に感じた所から動いていなかった。たぶん僕の気配を感じているのだろう。
気配の元にたどり着くと、そこには男性と女性がいた。
「あなたはフォルスですか?」
女性に質問された。もちろん答えはYesだ。
女性はきれいな赤……まるでルビーのような色の目と瞳をしていた。男性の方はバンダナで目隠しをしていた。
「あ、うん」
「そうですか。私たちもフォルスです」
女性は真っ黒な髪でロングヘアで人形のようだった。そして、輝く赤い瞳で怖さと魅力が感じられた。
男性はイケメン風だが目隠しをしていて近寄り難い。
「あなたのお名前は何ですか?」
……名前?そういえば僕に名前はあるのだろうか?
そう思い、ヴァルに聞いてみた。
――僕に名前はあるのか?
――……ないな。いちいち名前を考えるのは面倒だったからな。
――…………。
話にならなかった。
「名前は……ないよ」
「あら……そうでしたか」
「どうして名前があるんだ?」
「自分たちで決めたんですよ」
自分たちで……か。自分の名前を自分で考えるのは意外と難しかった。この人たちはどうやって決めたのだろうか。
「……私は心見キュースです。そちらは視温ネークさんです。よろしくです」
と、ニコッと微笑み、僕の目を見てくる。
キュースさんの瞳は見つめていると、なぜか心を見透かされているようで、落ち着かない。
「あぁ、よろしく。……どうやって名前を考えたんだ?」
「えーっと、自分たちの能力とそれに合う生き物から考えました」
「どゆこと?」
「例えば私の場合は能力が人の心を見て、精神力を吸い取る。だから、サキュバスかな?そこから取りました。
ネークさんの場合は能力が温度と音の反射で物を見(視)る。
だから、ヘビ=スネーク。から取りました」
なるほど。と手をポンッと打ってしまいそうになるくらい納得できた。
「よかったら、私があなたの名前考えましょうか?」
「えっ?あ、頼みます……」
「あなたの能力は何ですか?」
「えっと、体のエネルギーを放つのと、人のエネルギーを吸収することかな?」
「……そうですねぇ、エネルギー=電気=電子を吸収する。
ウナギ=eelで、吸子イールでどうでしょうか?」
ウナギ……って電気ウナギだよなぁ。なんかかっこ悪いな。でも……
「気に入らなかったでしょうか?」
「いえ、せっかく考えてくれたので、それでいいです」
泣きそうだったから断れなかった……。
「それでは改めまして、よろしくです吸子イールさ――!?」
――!?なんだ!?地震か?
突然の揺れが学校を襲った。しかし、それは地震ではなかった。
外の様子を見てみると、揺れているのはこの学校だけだった。
……いったいどういうことだ!?