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第15話~戦闘前~

1話2000文字で投稿しているので、あとで調整させてもらいます、

 翌朝。


 天気は晴れでもなく雨でもない、少し肌寒い曇り日和に、決戦の日は訪れた。


 学園には既にたくさんの生徒が集まっていた、授業の一環として、1年の全クラスはこの決闘、公式では模擬戦を見学させることに決まったらしい。もともと生徒同士の模擬戦は視野に入れていたようで、ちょうどいい機会と教師側が判断したようだ。


 現在の時刻は午前9時ピッタリ、グラウンドには昨日の金髪男、ガリム・ファースレッドが愛用の剣型魔具、キロバイトを肩に乗せながら立っていた。


 だが、グラウンドに立っているのはガリム一人で、カイルの姿はどこにもなかった。


 一番応援する気満々だったノアが、徹夜で作った必勝の文字が書かれた旗を抱えながら、不安の表情を浮かべる。


 周りの生徒達はカイルが来ないことを、逃げ出したと思っているようだが、ノアは兄が逃げ出すことなんて絶対にしないと確信していた。だからこそ、一向に現れない兄の姿に不安が立ち上ってくる。


 ――お兄ちゃん、もしかして怪我でもしたんじゃ……、こんなことならやっぱり昨日一緒に付いていけばよかったよ……


 カイルを探しにいこうかどうか、ノアが迷っていると、突然ガリムが大声を上げた。


「あ~あ、やっぱり逃げだしやがったか! まぁ見るからに腰抜けそうだったもんなぁ、なぁみんな!」


 ざわっと生徒達がざわめき始めた。あれでもガリムは学年9位の実力者だ、そんな彼とは違い、魔力測定もろくにしていないカイルが逃げ出す可能性は十分にあるだろうとみんな思っており、その顔には同情に近いものが浮かんでいる。ガリムは好かないが、ガリムの言うことは正しく聞こえるということだろう。


 だがもちろんのごとく、ノアだけはそれを黙っていなかった。


「お兄ちゃんはあなた程度の人間に臆する程、弱くないわよ!」


「へっ! 口だけならなんとでも言えるが、現にそのお兄ちゃんとやらはいつまで経っても現れないみたいだけどなぁ!」


「そ、それは……」


 ぐっと口をつぐむノア。


 ガリムの言うとおりだった。


 ノアがどんなに兄のことを代弁したところで、兄がここに来ていないというのが唯一の事実、反論のしようがない。


「あれ? という事は不戦勝で俺の勝ちか? だったら約束を守ってもらわないとなぁ」


「くっ」


 わざとらしいガリムの言葉に虫唾が走る。


 いっそのこと殺ってしまおうかとも考えてしまう。


 反論しようと、声を出そうとしたところで、別の、そして良く知る声が割りこんできた。


「それはちょっと困るな~」


 兄、カイル・クロスロードの声だった。


「お兄ちゃん!」


「ほぉ、ずいぶん遅い到着だな」




 うれしそうな反応の妹に、嫌悪感丸出しの金髪。そして観客のざわめき。


 やはりというか、遅れて登場したカイルに少し驚いているようだ。


 まぁ仕方ないか。


「いやぁ、実は徹夜で書庫館に籠っていたら、いつの間に時間過ぎてしまって、申し訳ない」


「書庫館だと? それで、なにか俺に勝てる秘策でも練っていたのか?」


「秘策ではないけど……まぁそんなところだな」


 ほぉ、と以外そうな声を漏らしたガリムが、面白いと剣をこちらに向けてきた。


「ならばその秘策とやらを見せてもらおうじゃないか!」


「まぁそんな自信はないんだけど……」


 二人がそれぞれ構えを取り、距離を取る、その距離およそ10メートル程だ、あとは教師の合図を待つばかり、


 その時、構えを取っていたガリムから待ったが掛かった。


「お前、魔具はどうした?」

 

――あ~、やっぱりか。


 困ったように頬を掻くカイルに、みんなの視線が集まっていく。


 ガリムの言うとおり、カイルは魔具らしきものをまったく身につけていなかった。


「ああ、実はまだ持ってないんだよ、俺」


 それはそうだ、なんたって昨日学校行きを知らされたんだ。そんな突然の展開で、魔具など所持しているはずがない。


 だが、それを聞いたガリムは、怒りをあらわにした。


「ふざけるな!! 魔具も使わずにこの俺に勝てるとでも言いたいのか!?」


 みんなも、ノアでさえも、この時ばかりはガリムと同じ考えをしていた。


 そもそも魔具とは、魔素を吸収しやすい、特殊な石を織り交ぜて作られる魔法補助道具の事を言う。主な役割は、その名の通り魔法補助だ。


 魔具に魔力を注入すると。魔具に含まれる特殊な石、精霊石が反応し、空気中の魔素を集めることができ、所有者は魔法陣を作ることだけを考えればいいのだ。


 素手でも魔法を使用することができるが、魔力調整、魔法陣生成、空気中の必要魔素の摂取と、かなり細かい段階を踏まなければいかず、戦闘中にそんなことをやっている暇はない。


 つまり、戦闘での魔具は必須として扱われており、持っているのと持っていないとでは戦闘にすらならないことが多いのだ。


 だがそんなこと、今さら言われなくとも、カイルは重々承知の上で、今この場に経っている。


「……5割」


「あ?」


 そしてカイルは、


「お前に勝てる確率だよ」


 負ける試合はしない主義なのだ。


現在①=4②=5③=3です。

ついに②が逆転しましたね~、このアンケートも次で終わりです。あと次の話で、自分のもう一つの作品を公開しますので、そちらも良かったら見てやってくださいな。

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