第12話~え?決闘?~
今回は次の回のためにかなり短めですご了承ください
その一言で、教室内の視線がその男子生徒へと集まる。
足を机に上げ、いかにも俺は悪です、みたいな主張をしている金髪のツンツン男は、カイルに眼を飛ばしてきていた。
特に気にしていないカイルだったが、それを聞いていたノアが変わりに睨みつけ、それを見た男子生徒はますます顔を不機嫌の色に変えた。
「ちっ、気にくわねぇな」
「なにがよ」
「そこのヘボ男がだよ」
男子は人指し指でびしっとカイルを指さし、
「優等生の兄貴だかなんだかしらねぇがむかつくんだよ。特に試験も受けねぇでこの学校に入ってきてよぉ」
「いや、そんなつもりは……」
ないんだが、と言おうとして妹に邪魔された。
「何よ、お兄ちゃんが弱いとでも言いたいの!?」
たぶんそのとおりだよ、とカイルはまるで他人事のように考えるが、口にするとろくでもないので何も言わない。
そんな二人を見た金髪は、「はっ」と笑い飛ばして言った。
「妹に庇ってもらって、つくづく救いようのねぇ屑みたいだな」
「いや、だから……」
と声を続けようと頑張るが、妹の教卓を叩く音にかき消されてしまう。
つーか不詳な兄をかばってくれるのはうれしいが、隣であふれんばかりの魔力を発するのはやめてほしい。なんか体に悪そうだし、
「屑!? じゃああなたなんて燃えカスよ! 私よりも弱いあんたなんかに、お兄ちゃんが負けるはずないもん!」
「んだと? 俺がそこのヘボ男よりもいいてぇのか!?」
「ふん、そんなの当たり前だよ! この燃えカス!」
妹がどんどんやさぐれます。
「ってめぇ!」
怒りをあらわにする金髪ツンツン男子と、敵意をむき出しにしながらそれを窘める優等生である妹、まさに一発触発の状況。もし今、『やめて! 僕のために争わないで!』なんて言ったら、確実に炭にされてしまうに違いないね。
どうすればいいのかわからなくなったカイルは、思いついたように後ろのロロア先生に助けを求める。
「先生! なんとかしてくださいよ」
「いいんだよ、若いうちはぶつけあわせた方が、」
以外に使えなかった……
それだけ言い残すと、先生は一人後ろの椅子に腰かけ、懐から小さい文庫本くらいの本を取り出し、すらすらと読み始めてしまった・
――生徒同士のいざこざを解決するのも教師の務めだろうに
と、そんなことをしている間にどんどん話は進んでいく。
「よ~しわかった! なら決闘だ」
「決闘?」
「ああ、もし俺が勝ったら、優等生には俺の女になってもらう!」
突然の提案にまわりから再びざわざわとした空気が流れ始めた。
カイルに至っては、何言ってんだこの馬鹿は? みたいな視線を送っている。そんな馬鹿げた提案に乗るわけがないだろう、ここはきっと「馬鹿か?」と言うのが普通の流れではないだろうか? そう認識していたカイルだったが、
「ええ! いいわよ!」
「ええ!?」
見事な変化球……
どうやら妹の認識は普通とは少しかけ離れていたらしく、存外、あっさりとOKの返事を返してしまった。
「そのかわり、お兄ちゃんが勝ったら、私はお兄ちゃんの女になるわ!」
――なるほど……って
「いやそれ絶対おかしいだろ! そこは認めてもらうとかでしょ!?」
「いいぜ」
「良くないよ!」
更に予想を斜め上に進む展開に突っ込みを入れるが、二人は完全に本人をスル―、男の方に関しては、不敵な笑みまで浮かべ始めた。
「では決闘は明日、場所はここの校庭」
「え? 本当にやるのか? というか生徒の決闘に学園の校庭を使用するなんてできないんじゃあ……」
「許可」
あっさりと許可が下りました。
「うぉい! それでいいのかよ! というかそのまま先生は大人しく本読んでてくれよ!」
なぜこんな時だけ、介入してくる!?
「別に良いではないか。ちょうど私もお前のデータは何も受け取っていないんだ。丁度いい」
「ぐっ!」
予想外の正論に、思わずたじろぐカイル。それに対してロロア先生は本の間から小さな笑みを浮かべた。
「まぁぶっちゃけた話、こういう展開は嫌いじゃないんだ」
「見たいだけかよ!」
結局それかよ!
「はっはっは、じゃあ、明日の朝9時に決闘開始だ! 逃げんなよ? ヘボ男!」
「あ、ちょ、待て!」
男は盛大に笑いながら、カイルの制止も聞かずに教室を出て行ってしまった。
呆然とするカイルに、先生が肩に手を置いて、一言。
「乙」
こうして強制的にカイルの決闘が決まってしまったのだった。
アンケートですが、現在のところ
①…3
②…2
③…1
です! イケメンが以外に人気……
あと一つ付け加えます。イケメン男は、章が終わったらカイルたちとはともに行動しません。※②③は行動を共にします。
一応章に入る直前までアンケートは取り続けるので、感想とともにでももらえればうれしいです。