第一話:「役割」
俺の名前は「カテラ・リバー」、魔王討伐の依頼を国王より仕向けられた勇者パーティーのサブアタッカーだ。サブアタッカーの役割はメインアタッカーへのバフ兼サブ火力──
──だがその立ち回りがパーティーのリーダーの「リナウス」のご機嫌に触れ、俺はパーティーを永久追放された……
勿論やり返してやろうとも考えたが、力では到底敵わないのは分かっている、だが俺には狡猾がある。どんな手を使ってでも…奴らに復讐してやる!!!
数日前…
【王国のギルド: 午前0:26分】
「カテラ、あんたって本当に役立たずね」
「いきなりどうした?」
「いきなりって、本気で言ってるの?アタシは口にしなかっただけで前々からずっと考えてたのよ!あんたの役割について」
「俺の…役割?」
「そっ、あんた…バフ兼サブアタッカーだけど…火力はアタシより下…パブ量はサポーターの「エルナ」よりも劣ってる。ヒーラーやタンクのような必須性もなし…あんた、このパーティーに貢献してる?」
「いやだから、俺はしっかりお前らにバフして…後ろから攻撃も──」
「後ろからバフ掛けているだけだったらサポーターの下位互換でしょ!ホント役立たず……アタシが一番嫌いなもの分かる?『中途半端』なもの。あんたはまさにそれの権化、象徴よ」
「一応言っておくけど、あんたのバフと火力が実は高かったで〜す、なんてオチも無いからね。しっかり火力もバフ量も並以下よ」
「で、何が言いたい。俺を追放でもする気か?」
「分かってるじゃない。ならさっさと消えて…ギルドの条約のせいでパーティーには5人しか入れられない事は知ってるよね?アタシ、ラゼ、エルナ、ヒリア、そしてあんた。分かる?あんたの代わりに他のサポーターでも入れたほうが幾分マシなの」
「もうお前の話はいいから、他の皆はどう考えている?」
ラゼ、タンク
「確かに僕も、少なからずカテラの貢献度に関しては疑問を持ってる…今はどうにかなっているが、来たる魔王討伐に向けて、もっと適した人材がいるんじゃないかって」
エルナ、サポーター
「私も…そう思います…」
ヒリア、ヒーラー
「私はどちらでも良いですが…ラゼさんの言う通り、魔王討伐にはカテラさんよりも適している人がいると思います」
「どう、分かった?満場一致であんたはこのパーティーに必要じゃないの。さよなら、手続きはこっちでやっておいてあげるから荷物まとめてさっさとどっかに出ていってね!」
◆
てな流れで、俺はパーティーを追放された。全部俺が悪いって?確かにサブアタッカーという職業は器用貧乏になりがち。火力はアタッカーに負け、バフ量はサポーターに劣る。でも、それでも俺がサブアタッカーになった理由…それは───
【王国の街外れの広場: 午前0:52分】
おっと、そんな話をしている余裕はないようだ…
カテラの目の前には数人の盗賊が構えていた
「おいそこのお前、命が惜しければ…金目のもの全部そこに置いてけ!」
「どの口で?」
カテラは挑発的な態度で話しかける
「てめぇ、俺達を随分と舐めてるようじゃねぇか…!」
「金目のものか…それならくれてやる。お前らの体でな」
紫色の雷を纏わせた槍で盗賊の腹部を切り裂く
「お前!」
他の海賊がカテラに接近する
「鈍い!」
カテラが盗賊の胸部を槍で刺す
「やるな、なら…これで…どうだ!」
最後の一人の盗賊が近くにあった樽に入った水をカテラにかけてきた
「(水っ?!)」
「どうだ?魔法を使ったら感電しちまうぞ?…ふふっ、もうお前は魔法を使えない!」
「確かに、水をかけられたこの状況なら…普通感電死するね」
「でも君は魔法に対する知識が浅い!」
カテラが雷を飛ばし盗賊の体を真っ二つにする
「雷魔法使いは…その能力の性質上、電気に対する耐性を持つ…って、もう聞こえてないか」
「(さて…これからどうしたものか。あいつらに復讐するって考えてたけど、流石に四対一は厳しいし…やるなら一対一だな。でも、やっぱり準備は必要だ。ひとまず何処かの宿に泊まりたいが……資金はパーティー共有だったから今金持ってないんだよな…)」
「あっ、丁度いい所にお金を持った盗賊の方々が倒れているではありませんか〜。これは人様から奪ったお金、高貴なる元勇者パーティーの俺がしっかり使わせてもらいますよっと」
盗賊の懐にあった金をすべて回収する
「悪くない額だ、これなら…一ヶ月は衣食住困らないだろう」
◆
【王国のギルド: 午前1:22分】
「で、これからどうするんだ?リナウス」
「ラゼ…そんな事も分からないの?アイツが消えたんだなら、空いた枠に他のサポーターを加入させて、魔王討伐の任務を遂行するだけよ」
「ですが…民衆にどうカテラさんが居なくなった経緯を伝え、どのように穴埋めのサポーターを見つけ出すおつもりなのですか?」
「そんなの単純よ、起こった出来事をそのまま伝えれば良いわ。それに、誉れ高き勇者パーティーに加入したい人なんて…星の数程いるに決まってるでしょう?エルナはそんな事も分からないのかしら?」
「そのまま伝えるって、正気か?皆僕たちのように納得できるとは思えないし、たとえ嘘でも…より多くの民衆を納得させられる答えを出すべきだと思う」
「なら、そうすれば良いんじゃない?結局情報を開示するのは私じゃなくて、あんたらなんだから。好きにすれば?」
そう言い残し、リナウスは部屋を後にする
「ヒリアはどう考える?彼女の態度はやはり傲慢だ。君の意見を聞かせてほしい」
ラゼは問いかける
「私は…そうですね……ラゼさんと同じように、嘘をついてでも民衆には納得できる答えを伝えるべきです。嘘を付く事はいけないことですけど…こればかりは致し方あるまいです!」
「分かった……それなら…やはりそうしよう」
◆
翌日早く、この情報は街中に知られることになった。
【王国の情報紙販売所】
「今日の情報紙だよ〜!ほらっ、買った買った!」
「一枚ください」
黒いフードを被った男が購入する
「まいど!」
〚今日の…"情報紙"!!!〛
【特大ニュース!】
あの魔王討伐を目標とする勇者パーティーのメンバーの一人「カテラ」氏が自ら勇者パーティーを離脱。理由は自分の実力不足だと称されており、これに対してパーティーのリーダー「リナウス」氏は───
「ふふっ、面白い。あくまで真実は伝えないつもりか…リナウス!」
これで……俺は確信した、アイツらには必ず報いを受けさせる必要がある!
そして、今日から俺の「役割」は、勇者パーティーのサブアタッカーから……『復讐者』に変わった。
『第一話・完』




