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類は友を呼ぶ 5-1 挿絵あり

挿絵(By みてみん)

 次の日もいつもように修行が始まったのである。

 この日も畳敷きの広い道場で行われたのである。

「戦場では接近戦、取っ組み合いになる時もあります」

「今日はその場合の対処を修行しましょう」

 清澄と悠然は淡々と話していたが

「汗臭い毛むじゃらな男と取っ組み合いだなんて嫌やな」

「巨漢みたいなのが来たら圧し潰されちゃうよ」

 京香と千代目がぼやいたが他の女子も同じでぶつぶつひそひそ言っていた。

「もちろんなるべくそうならないように味方と共同歩調を合わせ鉄砲隊の支援を常に忘れず間を取ってこうならないように心掛けましょう」

「今から私たちが実演するの見てくださいね。後でみんなにやってもらいますので」

「まず潔く武具を捨て利き手で相手の武具を持つ手首を抑えます。足を使いながら懐に入って押し倒したら空いてる手で素早く模擬(木刀)脇差を抜いて首を取る。こんな感じですね」

 清澄と悠然は淡々と実演していたが

「無理だって。生首なんてそんな簡単に取れないよ。敵さんも反対側の手が空いてるじゃん。反撃されるよ」

「嫌だよ。そんな腕力ないよ。血だらけになりたくないよ」

「魚や鳥を絞めるんじゃないちゅうのに」

 お静、たま、まえこら女子たちは相変わらずぶつぶつひそひそ言っていた。お菊は苦笑いである。

「あと今日は接近戦の修行なので突きはダメですよ。分かりましたか?」

「はああい」

 清澄と悠然に女子は嫌そうに返したのである。


「頑張ってるねぇ。ひよっこ軍団」

 その時、金髪を団子状に束ねた弥生よりも少し大柄な女子が弥生の横に来たのである。

「久々ね。どうしたの?」

「なんかすごいのが来たって聞いてさ。見に来たよ」

「普段はそうでもないわよ」

 弥生が返すと

「確かにどの子か分かんないねぇ。みんな冴えないねぇ。まぁお手並み拝見だね」


「ではお互いに組んでやってみましょうね。いいですか?まずはたんぽ槍で立ち合いして懐に飛び込んで倒してから組み合いですからね。本気出したらダメですからね。倒れるときは気を付けてくださいね。ゆっくりね。ケガされた困りますからね」

 清澄と悠然は相変わらずの気遣いである。


「お菊!この前のお返しや!お手合わせ頼むわ!」

 お凛がお菊に声を掛けて来たのである。

「良いよ。でも手順通りにね」

「承知や!ウチも新手の戦法も編んで来たからな!」

 お凛はにやりと笑ったのである。

「?」

 お菊はきょとんとしたが

「はい!お菊もお凛も向かい合ってくださいね。始め!」

 悠然の合図で始まったのである。しばらくお互いたんぽ槍でさや当てした後、

「行くで!とりゃあ!」

 お凛だがたんぽ槍を宙に放り投げたのである。

「い?」

 お菊が宙に飛んだたんぽ槍に気を取られた一瞬、お凛がすごい低い姿勢でお菊に抱き付きそのまま押し倒したのである。

 が、そのまま模擬脇差を抜くまでも無くお菊の頬にすりすりし

「よし!気が済んだわ!おしまい」

 それで終わったのである。

「むぎゅう……」

 すごい勢いで押し倒されたのでお菊は伸びていたが。

「お凛!模擬脇差で止めをしなきゃダメですよ!あと修行だから加減しなさい!」

 悠然が注意したが

「了解。でもウチは満足したわ。うん」

 それで終わったのである。

「お菊。スッキリしたわ。ありがとな」

「もう!手順守ってよ!」

 お凛が膨れるお菊を起こすと

「ちょい!お菊!今度はウチのお相手頼むで!」

 今度はおいちがお菊に相手を頼んだのである。

「良いけどあんたも手順守ってよ」

 お菊が不満そうに言うと

「お任せって!あとお菊!本気で来てや!噂は聞いたよ!あんたと立ち会うの楽しみにしてたねん!」

「あれは仕方なくだよ。もう」

 お菊が膨れながら言うと

「ま、本気で来んならこっちから本気で行くで!とりゃああ!」

 おいちだが修行を真面目に学んだり聞くような柄(タイプ)ではなかったが合図も無くいきなり真横からお菊の足を薙ぎ払ってきたのである。修行とは全然違う手順である。

 しかし

「うわ!ちょっと!」

 お菊だがひらりひらりと素早く飛んで避けたのでる。

「さすがや!もういっちょ!」

 おいちはたんぼ槍を手早くお菊に連続突きを仕掛けたのであるがこれもお菊は巧みにたんぼ槍を操って回避したのである。

「こら!おいち!突きは禁止って言ったでしょ!ダメですよ!」

「おやめなさい!おいち!お菊がケガするわ!」

 清澄と珍しく弥生もおいちを止めようとしたが

「ようし!さすが!噂通りやね!嬉しいわ!でもな!もろうた!」

 おいちだがたんぼ槍の先で押し合ってる間に逆側の握り側をお菊に無理やり押し当てお菊の懐に体ごと飛び込んで押し倒そうとしたのである。が、お菊はそれを読んだように自分のたんぽ槍を捨てておいちのたんぽ槍の逆側と握り側を一緒に掴んで抑えると逆に倒されながらおいちの胴丸に足を掛け蹴り上げてそのまま彼女を足で宙に放り投げたのである。

「い?」

 さすがにおいちも宙に舞いながら驚きの声を上げたが

「へぇ。やるぅ」

 弥生の横に居た金髪の女もそれを見て感嘆の声を出した。

「すご!」

 女子一同仰天である。おいちの体は宙を舞いそのまま畳に落ちるかと思われたが

「甘いわ!」

 おいちは体制を整え見事に着地するとたんぼ槍を放り投げ逆にそのまますごい勢いでお菊に飛び付いたのである。

「え!」

 お菊もこの動きは予想外だったので避けきれずそのまま飛び付かれて押し倒されてしまったのである。厳密に言うと抱きつかれたのであるが。

「ウチの勝ちやわ!やり!」

 おいちはお菊に抱き付いたまま頬ずりしながら喜んだが

「むぎゅう……」 

 お菊もさすがに伸びてしまったが。

「何をしとるか」

「あらまぁ」

 心眼と弥生は呆れたが。


「勝負あり!お菊の勝ち!」

 しかし清澄がお菊の勝ちを宣すると

「なんでやねん!ウチがお菊を倒したやんけ!」

 おいちが清澄に抗議すると

「反則です。全然ダメですね」

 清澄は冷静に返したのである。

「戦場に反則もクソもあるかいな!」

「戦場にも最低限の決まりはありますよ!練習試合も同じ!今日は突きはダメって言ったでしょ!決まりを守らないあなたの負け!決まりもちゃんと勉強してください!あともっとお上品に!」

 清澄は再度冷静に返した。

「くう。もろに正論過ぎて返せん。悔しいわ」

 おいちは清澄に返せず悔しそうに言ったが

「お菊!もう1回頼むわ!今度は勝ったる!」

「良いけどそんな熱くならないでよ。もう」

 お菊は呆れながら返したが。


「何考えてるねん。あいつは」

「あれが本当に雑賀の姫様なのかい?やれやれ」

 お凛も奈阿も呆れていたが。


「では第2戦行きますよ。構えて」

 清澄が間に入るとお菊とおいちは向き合ったのである。

「うん。やっぱアンタなかなかウチの好みやな」

「はい?」

「お菊。あれ何やねん?」

 おいちが突然指先を全然違う方向を指さした。

「へ?」

 お菊はその方向を見てしまったのである。

 その一瞬の隙においちはたんぽ槍を放り投げお菊に飛び付いたのである。

「もろうた!」

 おいちはそのままお菊に抱き付いて押し倒したのである。

「むぎゅう」

 さすがにお菊も反撃の間もなく再度伸びてしまった。

「今度こそはウチの勝ちやな!」

 おいちは再度お菊を抱きながらお菊の頬にすりすりしながら嬉しそうに言った。

「なんとせこい戦法……が、お菊が伸びたのでおいちの勝ち!」

 清澄は呆れながらおいちの勝ちを認めたのである。

「やり!勝ちは勝ちや!」

 清澄だけでなく悠然に心眼や弥生、女子一同は呆れていたがおいちは一人ご満悦であった。


「おいコラ!」

 お凛だがおいちに食って掛かったのである。

「ウチのお菊に何すんねん!いつまで抱き付いてるねん!」

「ええやん。ウチかわいいの好きやもん」

 おいちはお菊に抱き付いたまま悪びれず返すと

「いつまで抱いてるんや!男を抱くみたいに気軽に抱くな!いつもそんな事ばかりしてるからそうなるんや!」

「なんやと!あんたもさっきお菊を抱いてたやんけ!逆に男抱いたことないからってウチにひがむな!ってウチのお菊ってあんたこそ何様や!」

「なにい!ウチの好みの問題や!ええやんか!って前からウチと人格(キャラ)が被るからあんた気に入らんかったんや!」

「それはこっちのセリフじゃ!そっちこそ被んな!」

 二人は目で火花を散らしたのである。

 他の女子は唖然であったが。

「まぁまぁ。ケンカしないで。一人がウチでもう一人が私とかどうかな?」

 元に戻ったお菊が2人の間に入ると

「そう言う問題ちゃう!」

 お凛とおいちはお菊に返したのである。


「あはは!あはは!」

 弥生の横の金髪女はこの様子を見て笑い転げていた。

「まったくもう。あなたたち。ケガが無くてよかったけどこれは修行よ」

「一生懸命は良いがケガはいかん。決まりも守るよう」

 弥生と心眼は呆れながらお菊、おいちとお凛に駆け寄ったのである。


「若いのみんな元気だね。差し入れだよ」

 金髪女だが配下の男を連れて何か差し入れを持ってきたのである。

「マリア。珍しく気が利くじゃないか」

 心眼が言うと

「だってめちゃおもしろいのを見させてもらったからさ!最高だったよ!」

「わ!」

 お菊やお凛、おいちや女子一同は驚いてしまった。

 金髪の長身の女だけでなくその横に居た南蛮人のような大男二人にもである。

「みんなでかい」

「おわあ」

 女子たちはマリアだけでなく横にいた大男たちにも驚いたのであるが。一人は団子鼻で髪は見事な縮れた金髪だが肌はまっ黒、もう一人が肌が恐ろしく白く眼も蒼く髪は銀色である。

「お嬢さんたち。甘いカステラだよ。おいしいよ」

「頑張って修行なされ。お食べなさい」

 しかし大男たちはとても温厚で南蛮の最新の洋菓子カステラを山のように持ってきたのである。

「わ!おいしそう!」

「じゃ、頂きます!」

 女子は差し入れに大喜びである。

「お菊とやら。よろしくだね。アタシは六花仙のマリアさ。生き残り試験にあんたが残るのを楽しみにしてるよ!金閣!銀閣!帰るよ」

 マリアがお菊に声を掛けにこりと笑うと大男2人と去って行ったのである。

「あの人も六花仙なんだ。生き残り試験って何だろ?」

 お菊はカステラを食べながらマリアを見送ったのである。


「おい!凛凛。生き残り試験ってなんや?」

 おいちがカステラを食べながらお凛に聞くと

「知らんわ!でもウチは確定や」

 お凛もカステラを食いながら返した。

「その自信どっから来とるんや。ま、ええわ。何人残るんや」

「知らんわ!」

「ちゃんと弥生様や心眼様の話を聞けや!」

「そのまま返すわ!修行に来たり来なかったりの分際で!」

「フン!」

 おいちとお凛はみんなが差し入れのカステラを楽しんでいる間もいがみ合っていたのである。



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