星について
星の光は遠く遠くの星が過去に発したもので、今はもうその星はなくなってしまってるかもしれない
聞いたことある話、でも、よくわからないわ
なんて説明すればいいかな、たとえば・・手紙みたいなものだと思ったらいいんじゃないかな
手紙?
ビデオレター、動画データ、そんな感じ
それは、どういうこと?
遠くの星から他の星に向けてデータが送られる
その星からのメッセージを開封すると、その星について様々なことが分かる
ええ
その星に興味を持った人が、その星に向かって宇宙船を飛ばす
到着してみると、その星はもう滅んでしまっている
悲しい話ね
悲しみつつ自分の星に帰ると、そこではまだデータの受信が続いている
データの中では平和なその星のことが語られている
ああ、これは過去のことだったんだ
僕らが開封するまでに時間は流れてしまったんだと気付く
不思議な話ね
実際にそんなことが起きる場合、データよりもはやい速度で動けないといけないけどね
でも、ちょっとロマンチックね
そう?
だってその星は死んでしまっても、その星が生きていた証が残っているってことでしょう?
そうか、そうだね
夜空にはたくさんの星が浮かんでいた。
その光は長い長い時間を旅していまこの星に届いている。
もし星が死んでしまっても、
人の一生からすれば永遠みたいに長い時間、
その光は遠くの星の空で輝き続ける。
どうして人は星に惹かれるのかしら
夜空に輝く姿が美しいから、スケールの大きさに圧倒されるから、とか
きっとそれだけじゃないわ
だってあなたにその話を聞いてもっと惹かれるようになったもの
私はきっと、星みたいになりたいのだと思う
星みたいに?
そう
星みたいに生きたい
もし私が死んでしまっても、誰かの心で輝きたい
空には無数の星が浮かんでいた。
ただ光っているだけのその存在に、どうして人は憧れるのだろう。
どうして特別なものを感じるのだろう。
見上げる僕らの視線には気付かず、星は無邪気にきらきらと輝いていた。