すれ違い
教室の昼休み。幼なじみは笑顔が増えている。そんな彼女を見てこっちも笑顔になれる。幼なじみはヤングケアラー。けれど、そんなの関係ない。困った時はお互い様に助け合う。当たり前のことだ。
「片本さん、ヤングケアラーだから、大変そう」
クラスメイトの言葉を何となくキャッチした。クラスでは理奈の話題も多い。それと大変そうならば何故助けてあげないんだろう?
「片本さんのとなりに居るのは誰?」
「赤木翔太だよね? ヤングケアラーの片本理奈さんを助けて点数稼ぎかなぁ?」
そんなクラスメイトの言葉をひそひそされてボクはぐっと堪える。なんでそんな訳の分からないことが言えるんだ? 落ち着け。寄り添いサポートすることは当然のことだ。
「ねぇ? 翔太? 私は早退するからね?」
「え? どうしたの?」
「ううん。何でもないからね?」
そう言うと彼女はクラスを足早に出ていった。
残されたボクはさびしくなった。クラスメイトのひそひそ話に気を悪くしたのかな?
だが、翌日から幼なじみから距離を取られるようになっていた。どうして? そんなにクラスメイトのひそひそ話が嫌だったのかな? まさか点数稼ぎを真に受けているんじゃなかろうか? ボクはそんな訳の分からないことはしない。本当だ。