1/6
中学一年生の春の学校生活で
中学生になってドキドキしている。学校の教室にて。ボクは赤木翔太。友だちが新しく出来るかどうか? 期待に胸が膨らむ。
今は昼休み。一人でグラウンドを窓から眺める。中学生になったは良いものの、クラスに馴染めていない、そう感じる。
「翔太? 私は早退するからね」
話しかけて来たのは、幼なじみの片本理奈だ。
「うん。どうして?」
彼女は何でもなさそうな雰囲気を出す。ただ、一言。
「弟の夢くんの迎えに行くの」
ボクはそれを聞いてピンと来なかった。どうして理奈が弟の迎えに行くの?
「うん。分かった」
「また明日ね。バイバイ」
彼女はそう言ってクラスを出ていった。
うーん? お母さんが居るならば、夢くんの世話をする必要がないのでは?
「ねぇ、聴いた? 片本さんはヤングケアラーらしい」
クラスメイトの言葉を何となくキャッチした。ボクはヤングケアラーと言う言葉をどこかで聞いたことがある。詳しくは知らないけれど。
幼なじみはヤングケアラー、そんなことをぼんやりと考える。