表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不死の子供たち・設定集  作者: パウロ・ハタナカ
第一部・廃墟の街
9/70

09 組織・技術組合


■技術組合

 文明崩壊による混乱の中で、人類は徐々に〈データベース〉へのアクセス権限を失い、生存を脅かされ危機に直面していました。そんな状況の中、旧文明が残した施設や設備にアクセスしようと試みる技術者が人類の中からあらわれる。


 当初、彼らは〈職人組合〉の一部として活動していましたが、機械修理よりもプログラムやネットワーク技術を扱うことに長けた者たちは、しだいに独立し、電脳空間(サイバースペース)を主戦場とする集団を形成するようになりました。


 これが現在の技術組合の始まりであり、あるいは〈テック・ギルド〉、〈サイバー・シンジケート〉と呼ばれる秘密組織の始まりです。


 文明崩壊後も〈データベース〉の一部機能には誰でもアクセスできましたが、彼らの仕事場は、〝デッドネット〟とも呼称されていた〈データベース〉の深部でした。彼らは〈デッドネット〉へのアクセスを試み、情報を収集・売買することを主な活動としています。現在、彼らの活動は一般の人々にほとんど知られておらず、噂だけが広まっています。


◆組織の構造

 閉鎖的かつ秘密主義的な組織であり、内部の情報はほとんど外部に知られていませんが、それぞれの技術力によって階級が決まり、専門分野ごとに役割が分かれていることが知られています。


・技術者〈ハッカー〉

 簡単なプログラミングやデータ解析を行う者たちであり、日々の業務を通じてスキルを磨いています。しかし組合の重要なデータにはアクセスできず、制限された範囲内で業務を行っています。IDカードの偽造など、簡単な仕事を個人的に引き受けることがあります。


・情報解析技術者〈データスミス〉

 旧文明の〈デッドネット〉にアクセスし、情報を取得、解析する技術者たちです。彼らは高度な技術力を持ち、失われた知識やデータを再発見し、それを必要とする者たちに提供することで生計を立てています。


 データスミスの多くは、情報の希少性と価値を理解していて、極めて慎重かつ巧妙に活動を行っています。しかし〈デッドネット〉の隠された領域に侵入し、貴重なデータを収集するために危険を冒すことも厭いません。


・代理人〈コードブレイカー〉

 旧文明の端末や施設に接続し、セキュリティを突破する専門家でもあります。彼らの卓越したスキルは、〈廃墟の街〉で発見される遺物の解析などに使用されます。極めて高度な専門知識と経験を持ち、各施設のセキュリティにすら対処できると信じられています。


 機械人形の人工知能を調整する技術も持ち合わせているため、傭兵組合の依頼を受けて一緒に仕事することもあります。


・人体改造技術者〈バイオエンジニア〉

 軍用サイバーウェア、サイバネティクス、インプラントなどのシステム設定を行う専門家です。人間の肉体と機械を融合させることで、身体能力を拡張し、欠損を補うことのできる義肢を調整できる貴重な人材でもあります。しかし違法な人体改造を請け負う者も多く、医療組合と対立することがあります。


 その医療組合では手に入らない技術や部品を使い、顧客の要望に応じたカスタマイズを行うことでも知られています。彼らの存在は、身体の限界を超えた力を求める者たちにとって、とても貴重なものになっています。


・管理者〈アーカイヴァー〉

 旧文明のシステムを研究し、技術を継承する者たちです。彼らは〈デッドネット〉に眠る数々の秘密を知っているとされますが、ほとんど表に出すことはありません。失われた知識の守護者であり、その技術を保管する重要な役割を担っています。


 組合を統率し、情報の管理や取引を行う影の支配者たちでもあります。彼らの存在は謎に包まれていて、その素性を知る者はほとんどいないとされています。〈電脳空間(サイバースペース)〉内に構築された〈仮想空間〉から指示を出しているとされ、実際に彼らと対面することは極めて稀です。その影響力は広範で、組合の運営や方針に大きな影響を与えています。


◆活動

 組織の活動については謎に包まれています。


・データ発掘

〈デッドネット〉と呼称される〈データベース〉の深部に侵入し、失われたデータを発掘します。これには大きなリスクが伴い、時にはディフェンスAIや自動防衛システムに妨害されることがあります。


・IDカードやデータの偽造

 旧文明の施設に侵入するための偽造IDやデータ改竄を行います。リスクを嫌う技術者は、個人から依頼を受けて〈IDカード〉の情報を偽造することを好みます。


・人体改造、サイバーウェアの調整

 医療組合の許可を得ずに人体改造を行うこともあるため、医療組合との対立が絶えない。


・セキュリティ・システムの解析

 旧文明のセキュリティ・システムをハッキングし、施設そのものを掌握することも可能とされていますが、噂の域を出ない情報です。


◆組織の掟

 個人主義の集団ですが、共通の理念が存在します。


「知識の独占こそ支配の鍵」

 旧文明の技術を独占することで、組合はその影響力を維持している。


◆他勢力との関係


・スカベンジャー組合〈友好的だが緊張関係〉

〈廃墟の街〉で回収してきた遺物の解析を技術組合に依頼するなど、その専門知識に頼っています。この協力関係により双方は利益を得ています。しかし技術者たちが情報を隠蔽することがあるため、完全には信用していません。


・職人組合〈友好的だが緊張関係〉

 高度な技術解析や電子セキュリティの解除など、職人組合では扱えない分野で協力関係を築いています。これにより双方は互いに利益を享受し、良好な関係を維持しています。


 しかし旧文明の技術解析を巡って対立することが多く、とくに重要な技術や知識に関しては、どちらが先に手に入れるかで緊張が生じることがあります。また、有能な職人が引き抜かれることが頻繁に起こるため、職人組合は警戒心を抱いています。


・商人組合〈友好的だが緊張関係〉

 情報や偽造IDを求める商人組合と取引することがありますが、互いに完全には信用していません。技術組合から入手した情報や技術を自身の利益のために活用し、時には不正な取引や活動に巻き込まれることもあるため、警戒する必要があります。


商人組合との取引は慎重に行われ、情報漏洩や技術の悪用を防ぐための対策も用意されています。両組織は協力しながらも、常に警戒心を持ち続けています。


・傭兵組合〈友好的だが緊張関係〉

 ハッキングや電子戦が必要な任務において、傭兵組合と協力することがあります。傭兵組合はその高い戦闘能力と技術力を駆使し、任務を遂行するための重要なパートナーとなります。しかし傭兵組合の荒っぽい性格や過激な手法を好まない者たちも多く、常に友好的なわけではありません。


 傭兵組合との協力関係を維持しつつも、彼らのやり方に対して一定の警戒心を抱いています。廃墟で入手した技術や情報端末の所有権で揉めることもあり、結果として両組合は協力しながらも緊張関係が続いています。


・医療組合〈友好的だが緊張関係〉

 表面上は友好的な関係を保っているものの、実際には緊張関係が続いています。技術組合が組織を介さない違法な人体改造を行っているため、医療組合は抗議していますが、解決の目処は立っていません。


・略奪者〈友好的だが緊張関係〉

 ID情報の偽造やID登録された兵器や車両の設定など、多くの仕事を依頼されるため関係は良好です。技術組合はその技術力を駆使して、略奪者のニーズに応えています。しかし金銭のトラブルが絶えず、時には争いに発展することもあるため緊張関係が続いています。


・変異体〈敵対的〉

〈廃墟の街〉を徘徊する変異体との接点はほとんどありませんが、〈傭兵組合〉と仕事をすることもあるため、つねに警戒しなければいけない存在です。


◆デッドネット

〈デッドネット〉は、〈データベース〉の深部に存在するアクセス不可の〈電脳空間〉だと信じられています。


〈データベース〉は、高度な技術と情報で繁栄した旧文明の基盤を支え、すべての人類がアクセスする巨大なネットワークでした。しかし文明の崩壊により、その大部分が失われ、現在は一部の機能にのみアクセス可能となっています。


 様々な娯楽を提供する〈ライブラリ〉では、映画や書籍、音楽といった様々な娯楽が提供されていて、旧文明期以前の文化遺産が生き続けています。しかしアクセスできるのは限られた範囲であり、旧文明以降の情報や技術には厳しい閲覧制限がかけられています。特殊な権限を持つ者のみが、これらの貴重な情報にアクセスすることが許されています。


〈デッドネット〉には、不正に侵入を試みる者たちを排除するシステムがあります。彼らの多くはディフェンスAIによってアクセスを妨害され、接続に使用した端末や脳が焼かれるという恐ろしい運命を辿ることになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ