03 第一部・技術・遺物
■技術
◆〈データベース〉
インターネットの進化形として、旧文明期に再構築されたシステム。セラエノ・ネオネット・メタバース・戦術データ・リンクなど、いくつものネットワークが統合されている。
接続方法
・情報端末や体内に移植された生体チップを介して接続します。この生体チップは、貴重な遺物として高額で取引されることもあります。
機能
ID情報の登録
・身元確認、信用情報の管理、アクセス制御。
・高度な暗号化技術により、不正アクセスを防ぎます。
・電子貨幣〈クレジット〉の口座を開設できます。
・〈販売所〉での商品の購入、取引、報酬の受け取りに利用されます。
・すべての取引は〈データベース〉上に記録・管理され、追跡されます。
ネットワーク通信
・個人間の会話やテキストメッセージ交換に利用できます。
・通信に制限はなく、過剰な利用にもクレジットは発生しません。
情報の閲覧
・インターネットのように基本的な情報は自由に閲覧可能ですが、高度な情報や軍の機密情報にはアクセス制限がかかっています。
ライブラリ
・映画、書籍、音楽などの娯楽コンテンツが膨大に記録されています。
・旧世界の文化やエンターテインメントが満載のデジタルアーカイブです。
・〈クレジット〉を支払うことで、各コンテンツの限定的な〝利用権〟を取得できます。
アクセス権限
・政治家や軍人など一部の特権階級は、より多くの情報にアクセス可能です。
ブラックマーケット
・一部のネットランナーが〈データベース〉のアクセス権を不正に販売しています。しかしすべて監視されているため、これによりネットワークの安全性が脅かされることはありません。
リスク
・情報端末や生体チップが不正アクセスされた場合、個人情報が漏洩する危険性があります。これを防ぐため、定期的なセキュリティチェックが推奨されています。
◆電波塔〈ネットワーク・タワー〉
旧文明の通信技術の遺産として、荒廃した世界で利用されています。旧文明の特殊な鋼材で製造されていて、腐食や破損に強く、経年劣化は確認できません。廃墟の街の至る所に設置されていて、重要な通信拠点として利用されています。
利用可能範囲
・ひとつの電波塔がカバーする範囲は数十キロメートルに及びます。
機能
・〈データベース〉へのアクセスを可能にします。
・通信の中継ポイントとしても機能します。
情報の収集と配信
・気象データ、環境データ、その他の重要な情報を収集し、〈データベース〉を通じて配信・取得可能になっています。
メンテナンスと管理
・〈電波塔〉はメンテナンスを必要としていませんが、修理が必要な場合、旧文明の〈販売所〉などで部品や資材を調達することが可能です。
・しかし専門的な技術が必要なので、修理は困難です。
◆情報端末〈パーソナルデバイス〉
〈データベース〉に接続するために使われます。〈対話型AIエージェント〉をインストールしているため、読み書きができなくても簡単に操作できます。
機能
・〈データベース〉への接続を容易にし、情報の収集、通信、取引などが可能です。端末さえあれば無線で簡単に接続でき、安定した通信が提供されます。
・旧文明の技術により高い耐久性を持ち、過酷な環境下でも使用可能です。
・太陽光や体温を利用した充電が可能であり、あらゆる環境で使用できます。
・高度な暗号化技術を搭載していて、個人情報や取引情報を安全に保護します。
入手方法
・旧文明の無人工場で現在も生産されています。
・低コストで大量に生産されるため、入手が容易です。
◆スキンスーツ〈バイオスキン〉
旧文明の高度なバイオテクノロジーとナノテクノロジーを駆使して開発されたタクティカルスーツです。さまざまな先進的な機能を搭載しています。
機能
パワーアシスト
・内蔵されたパワーアシストシステムが、筋力を補助し、重い物を持ち上げたり、長距離を移動したりする際の負担を軽減します。
ナノマシン
・ナノマシンが傷を検知し、迅速に治癒を促進します。軽い傷から重傷まで対応可能です。
環境調整
・外気温に応じて自動的に体温を調整し、快適な状態を維持します。寒冷地や高温地でも動けるようにサポートします。またスーツ内部に組み込まれたシステムが、汗や排泄物などを自動的に除去し、清潔な状態を保ちます。
動力
・太陽光や体温を利用して内蔵バッテリーを充電します。これにより長時間の活動が可能になります。
入手方法
・旧文明の無人工場で製造されていて、安定した品質と供給が確保されています。
・旧文明の〈販売所〉で購入可能ですが、高価なため一般人には手が届かない装備です。
◆環境追従型迷彩〈カモフラージュクローク〉
周囲の色相と質感を瞬時にスキャンし、外套の表層にリアルタイムで表示することが可能です。旧文明の高度な光学技術により実現した装備で、貴重な遺物として扱われます。完全に姿を消すことはできませんが、動かない限り敵に見つかることはほとんどありません。
機能
・日本の光学機器製造企業〈シグマ〉の高精度なセンサーが採用され、周囲の色相とテクスチャをスキャンし、瞬時に再現することで環境に溶け込むことができます。
使用方法
・スキンスーツや軽量な外套に装着、塗布して使用できます。
・情報端末、あるいは遠隔操作によって起動し、瞬時に環境に合わせたカモフラージュを展開します。
動力
・体温や太陽光で電源が確保されているため、一定時間の連続使用が可能です。
入手方法
・現代では失われた技術ですが、無人工場などで生産されているため、旧文明の〈販売所〉で入手することができます。しかし非常に高価な装備になっています。
■遺物
◆グレネード型重力場発生装置〈グラビティグレネード〉
旧文明の技術により小型化された携帯型重力場発生装置。
使用方法
・装置を起動して投げることで、落下地点に重力場を発生させることができます。重力場の範囲は調整可能で、使用者の目的に応じて使い分けられます。
動力源
・小型核融合電池。使い捨ての電池であり、消耗品として扱われます。
使用例
・衝撃緩和
高所から飛び降りたり落下したりするさいに、落下地点に重力場を発生させ、着地の衝撃を相殺します。
・敵の制圧
敵対者の足元に投げることで、限定された領域に無重力空間を発生させる。この間に逃走するか、攻撃するかを選択できます。
・飛翔体、弾丸の無力化
発射された弾丸を重力場で捕え、弾道を逸らすことで無力化します。
入手方法・取引と価値
・旧文明の〈販売所〉や古戦場などで稀に入手することができます。
・文明崩壊後の世界では貴重な装備であり、高価な取引対象となります。
使用のリスク
・小型核融合電池は安定していて、文明崩壊後の世界でも誤動作することなく利用できますが、高価な装備のため、使用には慎重さが求められます。
◆多脚車両〈ヴィードル〉
・マルチレッグヴィードル〈MLV〉
旧文明の建設現場や森林作業、軍事用途に使われていた多目的車両です。瓦礫に埋もれた街での移動手段として重宝されています。
動力
・核融合エンジン
・旧文明では枯れた技術とされ、非常に安定した安全な動力源になっています。
特徴
・自動車ほどのサイズで、車体中央の球体型操縦席を中心に左右対称に六本の脚を持つ。行商人などが使用する物資運搬用の大型車両も存在し、コンテナを積んだ大型トラックほどの車体になります。
作業用
・建設現場や森林作業で使用されるため、頑丈な脚と高い負荷耐性を持っています。障害物や難所を乗り越える能力が高いため、廃墟の世界で好まれる乗り物です。
・行商人や物資運搬に使用される大型の車両もあり、コンテナを積むことで大量の物資が運搬可能です。
軍用
・過酷な環境での運用を想定し、装甲や武装が追加された軍用規格の車両も存在します。レイラが所有する車両は軍用規格です。
操作と制御
・車体中央の操縦席ですべての操作が行われます。AIエージェントによる基本的なナビゲーション機能を備えていて、自動運転も可能です。ただし、文明崩壊により地形が変化しているため、特定の状況では手動での操縦を必要とします。
発掘と改造
・廃墟や瓦礫の中から発掘され、修理されて再利用されることが一般的です。〈鳥籠〉の技術者たちが独自の改造を施し、性能を向上させています。
・一部の無人工場でも製造されています。
取引と価値
・多脚車両は文明崩壊後の世界でも相当な数の車両が発掘されているため、安価で入手することができます。しかし軍用規格や大型車両を入手するには、それなりのクレジットを必要とするため、所有者は限られています。
メンテナンス
・荒廃し瓦礫に埋もれた世界で運用されるため、足回りの定期的なメンテナンスが必要です。これにより〈職人組合〉に所属する技術者の重要性が増しています。
・核融合エンジンは完全なブラックボックスになっているため、修理は不可能で故障した際にはエンジンを交換する必要があります。