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不死の子供たち・設定集  作者: パウロ・ハタナカ
第一部・廃墟の街

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010 組織・略奪者

■略奪者


〈レイダーギャング〉は、文明崩壊後の混乱期に猛威を振るった暴徒たちの子孫とも、元々犯罪者だった者たちが組織化したものとも言われています。その多くは飢えと暴力によって人格が崩壊し、道徳や倫理を捨てた者たちですが、その中には合理的な判断で略奪を〝最も効率のいい生存手段〟として考えている者たちもいます。


 秩序が崩壊した世界では、スカベンジャーや隊商が苦労して集めた物資を力ずくで奪う方が効率的であるため、略奪者たちは生存競争の中で数を増やしていきました。


 レイダーギャングには、それぞれの組織に特徴があり、重装備で身を固めた者たちもいれば、薬物に溺れ狂った廃人たちもいて、ただ生存本能のままに暴力を振るう者たちもいます。いずれにしろ危険な集団であり、変異体同様に復興の妨げの一因になっています。


◆構造


・ギャング内には、支配者、戦闘員、そして物資管理などの後方支援を担当する者たちが存在します。支配者はカリスマ性や恐怖で戦闘員を従え、戦闘員は暴力で部下を従えます。物資を担当する者たちは略奪にも参加しますが、主な仕事は略奪品の管理や補給、装備や車両の整備です。


・力によって支配するのか、それとも、カリスマ性や知識によって支配するかによって、組織の性質は大きく変わります。力で支配する者は、その残虐性で名を馳せますが、知識で支配する者は一大帝国を築くともいわれます。


・略奪者たちは独自の〝生存の掟〟を持ち、それを破る者には厳しい罰が科されます。掟は口伝で受け継がれるか、象徴的な儀式によって受け継がれます。


・実力主義が基本で、勝者が〝すべてを手にできる〟という考えに基づいて行動しています。弱者に対する同情は敗北主義者や軟弱者の思想とされ、忌むべきモノとして排斥されています。


・略奪のあと、戦利品は組織独自の階級や実績に基づいて分配されます。支配者層が最も多くの物資を手にできますが、優秀な戦闘員には特別な戦利品が贈られることがあります。貴重な戦利品、旧文明の装飾品や兵器は、時としてギャングの象徴となり、組織の威信を示す役割も果たします。


◆文化


・それぞれの組織には、独自の文化が存在します。たとえば、新たな構成員を迎える際には、組織に対する忠誠を試すための〝血盟の儀〟が行う組織があります。新人は変異体と戦うことを強制され、血を流すことで組織に忠誠を示します。


・儀式は多岐にわたり、略奪が成功したさいに哀れな商人やスカベンジャーたちを生きたまま焼き殺すこともあれば、その皮を剥いで〈人擬き〉への供物として捧げる組織も存在します。


・カルトに傾倒し、変異体を崇拝する組織も存在します。彼らは拠点で変異体を飼いならし、略奪によって攫ってきた女性や子どもを供物として捧げます。それらの儀式は支配者層の権威を高めるために、あるいは組織への忠誠心を確かめるためにも利用されます。


◆組織


 略奪者は統一された組織ではなく、大小さまざまなギャングや戦闘部族の集合体です。彼らはそれぞれの理念や価値観を持ち、場合によっては組織だった軍事行動すら行います。


・狂信者系〈マッドギャング〉

 暴力と破壊を楽しむ快楽主義者の集団です。まともな戦術は持たず、薬物や興奮剤を摂取し、狂ったように標的を襲います。彼らに狙われた者は 拷問、処刑、あるいは異常な宗教的儀式に巻き込まれ、悲惨な最期を迎えることになります。典型的なレイダーギャングで、火炎放射器や即席爆弾など、敵味方関係なく殺せる派手な武器を好みます。


・軍事系〈ミリタリーギャング〉

 元軍人や警備組織、傭兵団の脱走者が集まった武装組織です。他のレイダーよりも組織化され、戦術的に動くため非常に危険な存在になっています。〈廃墟の街〉のあちこちに狙撃手を配置して、縄張り内に侵入した隊商を襲撃することを好みます。一部の組織は〝略奪はビジネス〟と考え、〈豪商〉たちの〝ゲーム〟に参加することで、利益を得ているという噂もあります。


・技術系〈スクラップギャング〉

 廃墟から多脚車両や戦車、未知の兵器を掘り起こし、独自の改造を施すことで戦力を強化する集団です。スカベンジャーを標的にすることを好み、彼らが手に入れた貴重な技術や遺物を強奪します。職人組合や傭兵団から追放された者たちによって組織化されていて、他のギャングとは一線を画す技術力があります。彼らの拠点は自律兵器やドローンで守られ、名の知れた傭兵団でも安易に手を出すことができなくなっています。


・経済系〈インテリギャング〉

 略奪者の中でも極めて知能が高く、拠点になる〈鳥籠〉を都市国家のように運営する組織です。他のレイダーギャングを傭兵のように使い、商人組合や傭兵組合とも取引を行います。〝ただ奪うだけでは長続きしない〟という独自の考えを持ち、略奪した物資を支配地域で流通させ、経済を回します。


 いくつかの組織は〈鳥籠〉を実行支配し、表向きは〝善良な共同体〟として活動しますが、その実態はレイダーの帝国に等しいです。


◆活動


・レイダーギャングは、廃墟の中で物資を回収するスカベンジャーや、他の〈鳥籠〉に物資を運ぶ隊商を標的にします。彼らは隊商の移動経路を事前に調査し、待ち伏せを仕掛けることが得意です。襲撃後、略奪した物資はギャング内で分配され、戦利品の中でも特に貴重なものは支配者層が手にすることになります。


 最も好まれるのは、旧文明の技術で製造された貴重な遺物や薬物製造に使用される薬品、そして快楽のための性的奴隷です。


・〈廃墟の街〉に拠点を構えるレイダーたちは、獲物を捕らえるための巧妙な罠を設置します。罠には、落とし穴や爆発物、さらにはスカベンジャーをおびき寄せるための偽の物資などが含まれます。捕らえられた人々は、貴重な情報を引き出すために尋問されるか、他の活動に利用されます。


・ギャング同士で抗争し、勢力圏を奪い合う抗争は日常茶飯事です。勢力圏を巡る争いは、廃墟の中での資源や拠点の支配権を決定づけます。抗争はしばしば激しい戦闘に発展し、勝者は敗者の物資や領地を奪い取ります。この抗争は、ギャング内の結束を強める一方で、内部の派閥争いを引き起こすこともあります。


・略奪のさいに捕虜となった者たちの多くは、レイダーたちの労働力として酷使されるか、娯楽の対象として利用されます。例えば、捕虜同士を戦わせる〝闘技場〟が設けられることもあります。これにより、レイダーたちは娯楽を得るだけでなく、捕虜の中から有能な戦士を見つけ出すこともできます。


 奴隷から成り上がり、レイダーギャングを組織したという者の話は語り草になっていますが、その真相を知る者はいません。


・特定の組合と裏取引を行い、物資や貴重な武器の売買も行われています。略奪した物資や奴隷、さらには自作の武器を取引材料として利用することは珍しくないです。このような取引は、ギャングの活動を支えるだけでなく、他の勢力との微妙な関係を築く手段にもなります。


・レイダーギャングは、暴力と略奪を生業とし、これまで無法地帯を支配してきました。彼らは荒廃した世界で恐怖の象徴となり、今も人々に恐怖を植え付けています。


 それらのレイダーギャングの背後には、変異体や〈守護者〉を神と崇めるカルト集団が存在していると噂されています。


 カルトの多くは〈汚染地帯〉に生息する変異体を神聖視し、その未知の力を操ることで信者を支配しています。しかし皮肉なことに、神であるはずの変異体は食事を必要とします。略奪者たちは神の〝生け贄〟として奴隷を提供することで、教団と密接な関係になり取引を行っています。


 奴隷の見返りに教団からクレジットと旧文明の兵器を受け取り、その力を使って略奪を繰り返しています。これにより、相互依存の関係になることもあります。

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