女の子は難しい
聖奈は教室にいた。
机に突っ伏して、大声で泣いている。
...なんで泣いてるんだ?
勘違いでなければ、思い当たる原因は俺しかない。
やっぱり聖奈は...俺が他の女の子と仲良くするのが嫌なんだ。
そのくせ女子を紹介しようとするくせに...なんなんだよ。
わけがわからない。
俺は躊躇なく教室に入った。
見て見ぬふりをして、3年の教室に戻ることだって出来たけど...泣いてる聖奈は放っておけない。
俺は幼馴染の肩を叩いた。
「大丈夫?」
聖奈は顔を上げた。
俺を見て驚いている。
「どいて」
聖奈の隣の席に座る男子をどかして、俺は椅子に腰を下ろした。
「なんでここに?!」
「聖也から聞いた。聖奈が話したいことあるって」
「でもここ1年生のクラス! 入ってきちゃダメだよ!」
他クラスには入ってはいけないという謎の決まりが学校にはあったが、そんなのどうでもいい。
とにかく聖奈を泣き止ませないと。
「気にすんな。それより聖奈、鼻水出てる」
なんだか泣かせてばかりだな。
泣かせたいわけじゃないのに。
...そんなに俺は酷いことを彼女にしたのだろうか?
傷付いたのは俺の方なんだけどな。
「で、話したいことって何?」
わざわざ俺のクラスまで来ようとしていたんだ。
聞いてやろうじゃないか。
俺と仲直りしたいんだろ?
昨日何があってあんなこと言ったのか知らないけど、許してやるから。
「昨日はごめんね」それだけでいいから言えよ。
「話したいことなんて、ない!」
意地っ張り!
どこまで素直じゃないんだ!
俺が来るまで大泣きしてたくせに。
「なんでそんなに情緒不安定なの。生理中?」
小さい頃に母さんは出て行ったし、父さんと男2人で暮らしてるから、生理なんて全然詳しくない。
でも、クラスの女子達が話しているのを聞いたことがある。
生理中は感情の起伏が激しくなるそうだ。
聖奈が突然怒ったり、泣いたりするのはきっとそのせいだろう。
男はそれを理解してやらなければならない。
そうじゃないと...父さんみたいに女に逃げられる!
俺は学ランの上着を脱いで、聖奈の肩にかけた。
他の女子が黄色い声を上げる。
こんなに特別扱いしてやってるんだから、いい加減機嫌直せよ。
他の女子が聖奈を羨ましがるほど、俺の上着には価値があるんた。
「一日貸してやるから、体あたためて。じゃ、もうすぐ朝礼だから俺は行くよ」
俺は一応、今日まで無遅刻無欠席だ。
皆勤賞を狙っていたわけではないが、ここまできたら目指したい。
何より、時間通り家を出たのに遅刻なんてしたら...父さんに知られたら怒られる。
仲直りしたいという俺の気持ちは上着に込めて、聖奈に預ける。
俺は3年の教室に急いで戻った。




