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童貞って言うな!  作者: 袴田一夜
明堂帝翔
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バスケと聖奈


聖也と別れて部活に行った。


この時期はいつもより見学者が多い。


バスケ部に入るか悩んでいる者。


それだけなら良いが、目当ての男子を見に来る女子...こいつらが1番鬱陶しい。


だいたいが俺目当てだ。


俺がシュートを決める度に黄色い声...それはわかる。


俺が水飲むだけで、汗を拭くだけでキャーキャーキャーキャー...黙ってろ。


練習試合が終わって、見学者達を見てみると聖奈がいた。


俺のこと大嫌いと言っていたのに。


わざわざ来るってことは...嫌われてないよな?



「来てくれたんだ。嬉しい」



聖奈に話しかけると、俺を見にきたわけではないと言われた。


他の子達の付き添いで来たそうだ。


まさか本当に女の子を紹介する気か?


...聖奈は俺に誰かと付き合って欲しいのか?


もやもやする。


俺は聖奈に彼氏が出来て欲しくないと思ってるのに。


女の子達に「聖奈の友達?」と質問してみた。


彼女達は肯定したが、俺にはそう思えない。


小学生の頃からこういう女をたくさん見てきた...聖奈を使って、俺と距離を縮めてくる女。


こんな奴ら、聖奈の友達だなんて認めない。


俺は聖奈にボールを投げた。


他の女子なんて眼中にない...最初のうちから知らしめなくては。


うまくキャッチ出来なかった聖奈に、バスケの指導をする。


彼女は想像以上に運動音痴だった。


...バスケ部には向いてない。


俺は少しカッコつけたくなって、聖奈にいくつかドリブルの種類を見せた。


聖奈は俺からボールが取れなくて、おろおろしている。


その姿がなんとも可愛らしい。



「明堂! 女といちゃつくなー」



バスケ部の同級生が冷やかしてくる。


聖奈は顔を赤く染めて涙目になった。


なんて愛おしいんだ!


こんなか弱い女の子をいじめてはいけない!


俺は、あともう少しで彼女を抱きしめてしまうところだった。


湧き出る感情が抑えられない。


だがその前に聖奈の怒りが爆発した。



「私、別にバスケ部に入りたくないし!」



聖奈は叫んで、俺を突き飛ばそうとする。


だが、力が弱くて俺は踏ん張れた。


こんなに怒っている聖奈を見たのは初めてで、俺は戸惑った。


怒りながらぼろぼろ泣いている。


俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになって、聖奈を外に連れ出して落ち着かせた。


逃げてしまわないように、両方の手首を掴んだまま壁の方へ押した。



「ごめんね聖奈。恥をかかせるつもりはなかった」



ただ聖奈にカッコつけたかっただけ。


俺達が仲がいいところを、周りに見せたかっただけ。



「俺のこと嫌いにならないで。聖奈に嫌われたら悲しい」




せっかく、やっと同じ中学に通うようなったのに。


ずっと待ってたのに。


会いたくて毎日家の前を通ってたのに。


嫌われてしまったらたまらない。


聖奈は何も言わず、泣きながら頷いた。


どういう意味だろう?



「許してくれる?」



俺が聞くと、聖奈はもう一度頷く。


可哀想に...こんなに涙で顔を濡らして。


俺は手を離した。


聖奈を外に待たせて、部長の元へ向かう。



「すみません...今日は帰ります」



理由は聞くな。


さっきのやりとりを見れば...わかるだろ。


部長はあっさりと許可してくれた。



「さっきの子、明堂の彼女?」



バスケ部の同級生達がニヤニヤしながら聞いてくる。



「可愛いだろ」



否定しても信じなそうだし、面倒くさいから何でもいいか。



「マジか。どこまでしたの?」



こういう話、年頃の男子は好きだ。


誰だって、早く童貞を卒業したいと思っている。



「どこまでだと思う?」



俺は曖昧なことを言って、奴らの想像に任せた。


実際は何もない。


さっき聖奈の手首を掴んだだけで、俺の手汗が尋常じゃない。


こんな俺が、大事な幼馴染に手を出せるわけがない。

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