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童貞って言うな!  作者: 袴田一夜
雷門聖奈
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私のダーシー様


結論から言うと、私は「高慢と偏見」にハマってしまった。


主人公と相手役ダーシーの出会いは最悪。


容姿端麗でお金持ちだけれど、高慢で無愛想なダーシー。


ダーシーのことを嫌う主人公は、顔を合わせれば言い争うばかり。


しかし彼は、自由奔放な主人公に本当は惹かれていた。


かなり不器用で、なかなか上手く想いを伝えられない。


そんなダーシー様に私はときめいてしまった。


純粋で、一途で、頼りがいがあって。


不器用なところは母性本能をくすぐられる。


いいなあ、いいなあ。


私も誰かに愛されたい。



「鏡よ鏡。私のダーシー様はどこにいるの?」



日課になってしまった鏡との会話。


ダミアンがクスッと笑う。



「面白かったでしょ。高慢と偏見」


「先輩には話しかけてない」


「俺が貸したんだから、俺に感想話せよ」



それはそうなんだけど。



「ダーシー様素敵だった。私もあんな一途な人に愛されたい。


プロポーズされたい。想いが綴られた手紙欲しい。


あの長文の手紙は、誤解を解く為の手紙。つまりエリザベスに愛されたいと願って書いた手紙なのよ」


「手紙...か」



ダミアンは考え事をしているのか、暫く黙る。



「...俺は書くの苦手だな」



別にダミアンの手紙が欲しいわけじゃないんだけど。



「俺、作文とかも苦手。自分の感情を文章にするの、得意じゃない。


俺からの手紙は期待しないで」



聞いてないし、求めてないし。


でも意外。


それだけ本を読んでて、こんなにお喋りなら、文章を書くのは得意そうなのに。




「明堂くん、そんなところで1人で何してるの?」



女の人の声がしてドキッとした。


誰か来たみたい。


様子を窺ってみる。


どうやらダミアンの担任らしい。



「誰かと話してたみたいだけど、誰かいるの?」


「トイレに籠っている寂しい生徒と話しています。生徒会長としては放っておけなくて」



なんてことを言うの!


私は廊下に飛び出た。



「ち、違います! 私達、普通にお喋りしてました!」



私はいじめられてる可哀想な子じゃない!


そう先生にアピールする為に、ダミアンの腕に自分の腕を絡ませた。


私達は見ての通り仲良しです。


だから詮索しないでください!



「そ、そう」



ダミアンの担任は苦笑している。



「...明堂くんなら大丈夫だと思うけど、節度を守ったお付き合いをしてね。明堂くんが年上なんだから」



ダミアンにそう言って、先生は気まずそうに階段を降りて行った。



「完全に誤解されたな。聖奈が腕を組んでくるからだぞ」


「誤解って?」


「俺達が付き合ってると思われた。交際するのはいいけど、中学生の常識の範囲内で付き合えってこと」



私は腕をすぐさま離した。


嫌!


最低最悪!



先生が降りたのと逆方向に、ダミアンは階段を登った。


上は屋上だけれど、鍵がかかっていて入れないはず。



「聖奈おいで。こっちなら誰にも見られないから」



私は言う通りについて行った。


また誰かに目撃されて誤解されるのは嫌だったから。


屋上前の階段にダミアンは座る。


途中踊り場があって、下の階からは見えない。


ダミアンは自分の隣を軽く叩いて、私に座るよう促した。



「トイレにいるよりマシだろ?」



まあ...そうかも。


私は隣に座った。



「昼休みは毎日ここ集合」



勝手に決められる。



「俺のせいで友達いないんだろ。責任もって俺がお前の寂しさ埋めるから」



...よく言う。


そんなの、小1の頃からずっとじゃない。


私が友達いる、いない関係なく会いに来るくせに。



「先輩が私に会いたいだけでしょ」



私は一緒にいて欲しいなんて頼んでない。


...そりゃ、いてくれるのは嬉しいけど。



「うん。だから俺と会って」



素直になったらなったで困る!


私はダミアンの顔が見れなくなってしまった。


なんでそんな、恥ずかしいこと平気で言えるの?!


...言わせたのは私だけど。

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