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童貞って言うな!  作者: 袴田一夜
雷門聖奈
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ダミアンの1番


次の日、同じ場所に行くと、既にダミアンがトイレ前で待っていた。


ダミアンは私に話しかけるわけでもなく、ただ本を読んでいる。


私はトイレの中に入って、鏡の前に立った。



「鏡よ鏡。世界で一番優しいのは誰?」



これで返事がなかったら恥ずかしい。



「それは3年生の帝翔ですよ」



鏡とは別方向から声がする。


私は笑ってしまった。



「優しいだろ」



不満そうにダミアンが言う。



「鏡さん、教えて。どうして先輩は私に会いに来るの?


人気者だから、休み時間を過ごす相手は他にたくさんいるはずなのに」



ずっと気になっていたことを聞いてみる。


兄は「居心地がいいからだ」と言うけど、感情的で浮き沈みが激しい私のどこに魅力を感じているのかがわからない。



「聖奈ちゃんが一緒にいて1番楽しいから。帝翔の中ではランキング1位」



そんなに私が良いの?


1位ってことは、兄より上ってこと?



「聖奈ちゃんは違う? 帝翔と一緒にいても楽しくない?」


「...楽しいよ。私、友達は先輩しかいないから。


でも、他にも友達が欲しかった。先輩が私の時間を独占するから、他の子と仲良くするタイミング逃しちゃった。


やっと友達が出来ても、私と仲良くしたいんじゃなくて、みんな先輩目当てだし」



普段言えなかったことを、ついに伝えてしまった。


顔が見えないから言いやすかった。



「そうか...俺のせいでごめん」



悲しそうな声に、胸が苦しくなった。


私の心はフラフラだ。


ダミアンさえいなければ、私はもっと友達が出来たと思うのに...と恨む反面、私のことを1番だとダミアンが言ってくれるのが嬉しかったり。


危険だ。


ダミアンは共依存の関係を作ろうとしてる。


「私にはこの人しかいない。そしてこの人は、私がいなきゃダメなんだ」と思わせたいのね。


そんな悪魔の手に私は引っかからないわ。


聖奈、惑わされちゃダメよ!


私はシャキッとする為に顔を洗う。



それにしても、静かだ。


ダミアンはもう離れてしまったのかしら。


私はタオルハンカチで顔を拭く。


鏡に話しかけたら、ダミアンがいるかどうかわかりそうだけど。


返事がなかった時の寂しさと恥ずかしさには耐えられない。


結局私は、ダミアンがいるか確認しに入口を覗いた。


やってることは昨日と一緒。


そこにはまだダミアンが立っていた。


もう本は読んでいない。


目が合ってしまった。



「聖奈可愛い。俺が黙ると、いるかどうか確認しに出てくるんだな。


そんな不安そうな顔をしなくても、勝手にどっか行かないから安心して」



そう言ってダミアンは私の頭を撫でる。


私は全身が熱くなるのを感じた。


恥ずかしい!


ダミアンは私を試してたんだわ!


昨日も今日も!


私は怒って、トイレの中に戻ろうとした。


ダミアンは私の腕を掴んで引き止めると、持っていた小説を渡す。



「読み終わったから読んで。面白かった」



昨日ダミアンが読んでいた「高慢と偏見」だ。


なかなか分厚いのに、もう読み終えたなんて。


私は受け取った。


ダミアンが初めて読んだ恋愛小説は気になる。


家に帰ってから、私は借りた本を読み始めた。


なんだかんだダミアンの言うことを聞いてしまってて悔しいけど、どうせ暇だし。


勉強はやりたくないし。


本は嫌いじゃないし。

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