依存体質
「帝翔と何かあった?」
夜、ベッドで横になっていると、兄が部屋に入ってきた。
「ど、どうして?」
「いや...聖奈、今日元気ないから。帝翔も機嫌悪かったし」
「ダミアンは何か言ってた? 私のこと」
質問されているのに、私は聞いてばっかりだ。
「帝翔は何も言わないよ。あいつは何かあっても人に言わないから。
機嫌の悪さは全面に出すくせに。そこがめんどい」
想像がつく。
ダミアンは怒っている時、わかりやすく態度に出る。
兄は私の横に座った。
「何があったの? 帝翔がまたデリカシーないこと言った?」
私は首を横に振る。
ダミアンは自分が悪いと思ったらすぐに謝ってくれる。
でも今回は違う。
私は兄に言うべきか悩んだ。
クラスの女子に無視されてるなんて...心配かけちゃう。
「『帝翔先輩と友達でいるの疲れた』って、本人に言っちゃったの。
だって彼と仲良くしてると、女の子達に嫉妬されるし。それが最近ストレスで」
無視されてることや、上級生に呼び出されたことは言わないでおこう。
「なるほどねぇ。イケメンで損してるな、あいつ。
寄ってくる女は多いけど、本当に一緒にいたい女の子には避けられるのか」
「にーやまでからかわないでよ!」
「本当のことだろ? 帝翔は単純。
一緒にいたい人と一緒にいる。会いたい人と会う。
あいつの中で聖奈の順位は高い。俺の親友だったはずなのに、俺より聖奈優先なんじゃないか?
あいつから見たら聖奈は居心地が良いんだろうな。そんな子に『疲れた』って言われたらショックだよ」
居心地良いのかしら?
私なんて、すぐ感情的になるのに。
「まあ、聖奈が本当に帝翔と離れたかったら良い機会だな。帝翔は交友関係が狭すぎる。
内向的で、自分から繋がりを広げる気があまりない。だから、一度心を開いた相手には依存しちゃうんだ。
俺はそんな帝翔、嫌いじゃないけど。あの性格は簡単に変わらなそうだし、本人はそれで幸せそうだし、俺には害無いしね。
とはいえ聖奈は俺とは違う。俺が帝翔を気に入ってるからって、無理に仲良くしなくていい。
俺と聖奈は兄妹だけど、性格は似てないし。聖奈が嫌なら離れていい」
依存...確かにダミアンは依存体質かもしれない。
私はそれが嫌だ。
いつも一緒にいるのが当たり前みたいな。
ずっと一緒だと、周りに誤解される。
それが嫌。
でも実際は...楽しい。
周りの目を気にしなければ、ダミアンとの時間は、なんだかんだ好きだ。
彼は自分の趣味を押し付けてくるけど、読書は私も嫌いじゃない。
それに、ダミアンは私の趣味にも文句言わず付き合ってくれる。
お互いにメリットがあって、満足してる関係。
「でも、帝翔と仲直りした方が良いって、俺は思うけどな」
「えっ、どうして?」
「聖奈の顔に書いてある。私はダミアンと離れたく無いって」
私は両手で顔を覆った。
うそ!
私、そんな顔してた?
恥ずかしさで体が熱くなる。
ダミアンと離れたくない。
確かにそれが私の本心だ。
だって、
だって...。
「...今後ホラー映画は誰と見ればいいの? ホラーゲームは? 私、一人じゃ怖くて出来ない!」
兄も母も怖いの苦手だし。
父は忙しいし。
ホラー映画やゲームは、ダミアンしか付き合ってくれない。
「...怖いならやんなきゃいいんじゃないの?」
兄は何もわかってない!
怖いもの見たさって言葉があるじゃない!
「ホラーへの好奇心は抑えられないの!」




