居場所がない
次の日の学校。
私はダミアンの人気度の高さを思い知る。
正直ここまでとは。
「おはよう」
「......」
昨日一緒にバスケ部を見学した女の子の一人に挨拶をしたけれど、返事がない。
聞こえなかったのかな?
たいして気にもとめず、小学校から仲良い友達にも挨拶をする。
「......」
しかし無視。
それだけじゃない。
クラスの女の子と誰とも目が合わない。
合ったと思っても逸らされる。
私はすぐに察した。
昨日の一件で友達を失ったのだと。
ショックで頭の整理が追いつかないまま、一限目が始まった。
なんで、どうして?
思い当たるのは私が昨日ダミアンと帰ったことだ。
皆のことをろくに紹介もせず、彼女達の王子様を独り占めした。
そう思われているのかも。
授業の内容が頭に入らないまま次の休み時間。
「雷門さん、上級生が呼んでるよ」
クラスの男子に声をかけられる。
上級生?
知り合いは兄かダミアンしかいない。
廊下に出ると見知らぬ女子が三人いた。
上履きの色を見た感じ、3年生。
「雷門さん?」
名前を確認されたということは、やはり初対面だ。
「話したいことあるんだけど、ちょっと来てくれる?」
雰囲気的に良い話ではなさそう。
でも断る勇気は、私にはない。
私は頷くと、ひとけのない場所まで連れられた。
「えっ、てか全然可愛くなくない?」
上級生の一人が、私に聞こえるようにわざと言う。
なに...?
なんなの?
「雷門さんって帝翔くんと付き合ってるの?」
ああ、またこの質問。
「付き合ってません」
私は強く否定した。
「だよね。じゃあ、しゃしゃんないでくれる?」
どういうこと?
私がいつ出しゃばったっていうの?
「な、何の話ですか?」
「しらばっくれるんじゃねーよ。昨日帝翔くんの気を引くために、バスケ部で迷惑かけたって。他の部員から聞いてるんだよ」
一人が口汚く言う。
ああ、やっぱり昨日の件なんだ。
他の部員...確かに、私はバスケ部の練習の邪魔をしてしまった。
「帝翔くんって優しいからさ。それに、あなた聖也くんの妹でしょ? 友達の妹だから放っておけなかっただけだと思うよ。好かれてると思わないでね。別に可愛くないんだから」
容姿のことを言われるのは傷付く。
悔しいけど、この3人は綺麗な顔をしている。
...でもこんなに可愛くても、ダミアンの相手にされてないんだ。
『間接キスでもしたら、帝翔先輩はすぐその気になりますよ』と、彼女達にアドバイスしたい。
言えないけど。
言ったら余計怒りそう。
「先輩は私のこと妹のように思ってるだけです。私も先輩のこと、兄だと思ってます。私達に恋愛感情はありません」
私は出来るだけ敵を作りたくなくて、心にも思ってないことを言った。
ワガママで意地悪なダミアンを、兄のようには思えない。
そりゃあ、時々は優しいかもだけど。
「嘘だったら許さないから。帝翔くんと付き合わないで」
先輩達と約束した私は、やっと解放される。
学校は地獄と化した。
クラスにいても話す人はいない。
上級生には目をつけられる。
私は机に突っ伏して、休み時間を過ごした。
その次の休み時間も、その次も。
...早く帰りたい。




