憧れの人
母は経緯を説明すると、深く頭を下げた。
男の人は、自分の息子の名前を呼んだ。
双子のように瓜二つの2人の息子が出てきた。
髪型も服も同じだ。
「コウガ君、テイト君、チョコレートは好き?」
母が聞くと、片方が「大好き!」と答えた。
ランドセルが無いと、どっちがどっちなのかわからない。
「2人で仲良く食べてね」
母はチョコレートが好きと答えた方に渡した。
それがテイトだと私はすぐに知る。
「サモハンが食べたらもっと太っちゃうもんね。俺たちが代わりに食べてやるよ」
納得いかない。
助けてくれたのはコウガ君なのに、なんでテイトも食べるの?
コウガ君は「おばさん、ありがとう!」とお礼を言った。
礼儀正しくてダミアンとは大違い!
残念ながら、私の兄は何故かダミアンの方が好きで、コウガ君とは全く遊ばなかった。
その一年後にダミアンの両親は離婚してしまい、コウガ君は母親と引っ越したけれど、家はすぐ近くで、小学校は同じだった。
でも私が高学年のクラスに行くのは勇気がいたし、基本的に私はダミアンに捕まっていたのでコウガ君と関わることはなかった。
ああ、コウガ君に会いたい、仲良くなりたい。
ちゃんと喋ったのはあの時だけだ。
きっと今も優しくて、カッコイイんだろうな。
性格が悪いダミアンがこんなにモテてるんだから、コウガ君なんてもっとモテてるかも。
彼女いるんだろうな。
ダミアンには言えない。
私の憧れの人がコウガ君だなんて。
笑われるか、面白がってコウガ君に話してしまいそうだ。
「お前いじめられすぎじゃね? 俺もいじめっ子からお前を守ったことあるよ」
そうだっけ?
太ってることを馬鹿にされた記憶しかない。
「もしかして、お前の憧れの人って俺? 俺のこと好きなわけ?」
「ち、違います!」
「またまたぁ。まあ、悪い気はしないけど。聖奈は顔が可愛いから、俺と付き合いたいなら考えてやってもいいよ」
なんなのコイツ。
なんでそんなに上から目線なの?!




