好きなタイプ
私はなんて返せばいいのかわからなくて、黙ってしまった。
大好きな兄が、知らない間に大人になっていて、私の知らない顔があることがショックだった。
「ごめん、変な話して」
気まずそうにしているダミアン。
「い、いいえ! 先輩はどういう人なら付き合いたいって思うんですか?」
ダミアンの性欲が強いとか、聞かなかったことにしたい。
「それなんだよなあ。可愛い子や綺麗な子はいっぱいいるけど、どれもピンと来ない。そもそも好きってなんだろう」
「好きなタイプとかは? 芸能人とか」
「キャメロン・ディアス」
うーん、やっぱりダミアンはちょっと変わってる。
即答でハリウッド女優が出てくるなんて。
「外国人が好きってことですか?」
「いや...笑顔が可愛い。あと、セクシーだ」
なんとなくわかってきた。
そんな子...中学生にはいないってこと。
「でも...そんな綺麗な人、俺と合わないだろうな。なんか、毎日怒られそうだし」
同意だ。
ダミアンには申し訳ないけど、綺麗なお姉さんに愛想尽かされることが簡単に想像ついてしまう。
「忍耐強く俺を愛してくれる人がいいな」
「自分を変える気はないんだ」
「あるよ。ダメなところ言ってくれたら頑張って直す。自分じゃ気付けないし。だから、すぐ見離さないで、辛抱強く俺を叱ってくれる人がいい」
...この人が将来結婚する人の顔が見てみたい。
すごく、すっごーく苦労しそう。
「そんな人と出会えると良いですね」
カップの中に入ったアイスはまだ半分残っている。
早く食べないと、溶けてしまう。
「聖奈はどんな人がいいの?」
ダミアンはスクールバックからタオルを取って汗を拭いた。
「私は...私が何があった時に、守ってくれる人がいいです。騎士みたいな人」
「へえ。じゃあ、俺じゃん」
「どこが?!」
自信満々に言えるのがすごい。
守られるより、泣かされてばかりなのに。
「守ってあげてるだろ。お前の大嫌いな虫とか」
...それは助かってるけれど。
私は虫が苦手だ。
外で遊んでる時に虫が寄ってきたり、服についてたりすると、ダミアンがいつも払ってくれる。
そこは感謝しかない。
でも、ダミアンじゃない。
私には他に好きな男の子がいる。
「昔、近所の子供にいじめられたことがあって。それを助けてくれた男の子がいるんです。私、その人が今でも憧れで」




