図書室で過ごした昼休み
私の不幸は小学校からが本番だ。
学年が違うのに、ダミアンはお昼休みによく私のクラスに来た。
私を教室から引きずり出して、図書室に毎回連れて行かれる。
「この本面白いから読んで」
そう言われて読まされたのは、怪談レストランシリーズだった。
小学1年生の私は、まだ読めない文字があると伝えると「俺が小1の時は読めたよ」と小馬鹿にされる。
読めない私に、ダミアンが本を読み聞かせてくれた。
怖い話ばかりだったので、私はそれでよく泣いていた。
昼休みにダミアンが毎日図書室に誘うせいで、私は同じクラスの子と遊ぶ時間があまりなかった。
放課後は車のお迎えがあるから、同級生と帰ることもない。
その車にはダミアンも一緒だ。
私の時間はほぼ彼に奪われた。
ダミアンは他に友達がいないのだ。
そして気付けば私も一人だった。
私達は友達がいない同士、二人でいるしかなくなった。
兄が他の子に誘われて出掛けても、ダミアンは私の家に残る。
「にーやは遊びに行っちゃったのに、どうしてテイトは一緒に行かないの?」
2人でオセロをやっている時に聞いてみた。
ちなみにオセロですら、私はダミアンに勝ったことがない。
「他の人と喋るの苦手。怒らせることが多いから」
私だって怒ったり泣いたりしてるのに。
私のことも苦手だと思って欲しい。
「セイナは友達がいないから、俺がいなくなったら1人になるじゃん。可哀想」
その言葉そっくりそのままお返ししたい。
子供ながらにそう思った。
ただ、ダミアンは完全に孤独というわけでもなかった。
小学生時代のダミアンも相変わらず坊ちゃん刈りで、変な髪型。
そのくせに女の子にはモテていた。
顔だけは綺麗だったし、他の小学生男子みたいにギャーギャー騒ぐタイプではなかったから、クール系だと思われて、それが女の子達に刺さった。
「いつもお昼休みに来る子が、セイナちゃんのお兄ちゃん?」
ある日、クラスの女の子に聞かれる。
ほぼ毎日来るので、まわりの子は兄だと思ったみたい。
兄ではないと答えると「あの子ってセイナちゃんのこと好きなの?」と必ず言われる。
否定すると決まって「私も一緒に図書室に行っていい?」と聞かれた。
そんなことが何回かあった。
友達を作るタイミングを逃した私としては、願ってもないことだ。
ダミアンがいつも通りお昼休みに私を迎えに来て、他の女の子も一緒でいいかと頼んでみる。
「他の人と喋るの苦手」と言っていたから、ダミアンは断ると思ったけど、意外にも受け入れた。
あの男はわかりやすかった。
可愛い女の子が相手なら、照れて自分からは話さない。
自分のタイプではないとよく喋る。
それが無性にムカついた。
私は後者なのだ。




