恥ずかしい投稿
「SNS何やってる? 教えて」
「えっと...」
聖奈はスマホを出した。
「私変なこと呟いてないかな...? 一回確認していいですか?」
「ダメ。何も削除しないで。素の聖奈が知りたい」
俺の悪口が書いてあるならそのまま見たい。
...今以上に傷付くかもしれないが、それでも本当のことを知りたい。
「うぅーん...いいや、多分大丈夫!」
覚悟を決めたのか、聖奈はツイッター(エックス)のアカウントを教えてくれた。
「ちゃーらいおん」のアイコン、非公開設定、本名とかけ離れた名前...何もかも想像通りだ。
昨日ちゃーらいおんが好きだと教えてもらってから、こっそりマリアのフォロワー欄から探した。
これではないかと予想したアカウントだった。
鍵垢ほど厄介なものはない。
ネトストが出来ないのだから。
あとで投稿を削除される前に、最近のつぶやきを覗いてみた。
1週間前...『そのうち頑張って彼氏作るから。急かさないで』
1ヶ月前...『打たれ弱い自分がイヤになっちゃう』
2ヶ月前...『一緒に飲みに行けるくらい親しい人が会社にいない』
暗いな。
予想以上に暗い。
ただ、今のところ俺の陰口はまだ書いていないようで安心した。
「うわ、ずるい!」
俺のアカウントを見た聖奈が声を上げる。
「何も書いてない!」
俺は基本的に見る専門だ。
何も投稿しない。
学生時代の同級生数人と繋がっているが、彼らに向けて何かを発信したいという気持ちがない。
普段写真すら撮らないのだから、上げるネタもない。
「繋がる意味あります?」
「大丈夫。俺投稿はしないけど、他の人の投稿ら結構見るから」
「私、なんで教えちゃったんだろ...」
後悔する聖奈。
日々の鬱憤を晴らすのにSNSを使っているようだ。
俺と繋がったことで会社の愚痴は投稿しづらくなったかもしれない。
「俺、気にしないから。上司の悪口とか書いても良いし」
「私の上司アナタなんですけど」
「俺に直接言いづらいことがあったら投稿しなよ。俺イイネしてやるから」
「それはそれでムカつく」
聖奈は深くため息を吐いた。
「はあ。ずるい。私だけ恥ずかしくて」
仕方ないな。
俺は文字を打って、初めての投稿をした。
「ほら、俺も恥ずかしいこと書いてやったぞ」
聖奈に見せる。
『聖奈が可愛い』
彼女は顔を真っ赤にさせて、俺のスマホを奪おうとした。
「消してください!」
「聖奈、店内だぞ。静かにしないと」
他の客が俺らを見ている。
視線に気付いて聖奈はおとなしくなった。
「後で消すから。俺に似合う服選んでね」




