表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
童貞って言うな!  作者: 袴田一夜
明堂帝翔
58/129

ユダ様


17時。


なんとか定時に上がって、聖奈と会社を出た。


とりあえず会社から徒歩で行ける、ショッピングモールへ向かう。



「うわあ...すごい! 見てください先輩! ユダ様ですよ」



入ってすぐの三層吹き抜けのアトリウム。


天井からぶら下がっている、大きなポスターを聖奈は指さした。


ファッションブランドJUDAS Iscariotのデザイナー、通称ユダ様。


美しすぎるファッションデザイナーと称えられ、自身のブランドのモデルは勿論、テレビ等のメディアにも引っ張りだこだ。


髪の色は奇抜でグラデーション。


ベースは紫、根本は黒、毛先は赤。


この髪色を数年は維持している。


男だが化粧をしていて、韓国系というよりは、薄めのビジュアル系といった感じだ。



「やっぱりユダ様は美しいなあ」



聖奈はうっとりした様子で、スマホで写真を撮る。


確かにユダは女性人気が強いが、まさか聖奈までファンだったなんて。



「俺とどっちがカッコイイ?」



そう聞いてみる。


聖奈はスマホをしまって俺を見た。



「ユダ様には色気があるんです」



なんだそれ。


まるで俺には無いみたいな。


...いや、童貞と既婚者じゃ差はあるかもしれない。


そこは認めよう。


だが、どちらが良い男かなら、負ける気がしない。


化粧を落としたらユダと俺は同じような顔をしてる。


差があるとしたら性格の良さと、年収と、あとは聖奈が言う色気。


...年収も負けてるな。



「でも、クズじゃん」



2回も離婚してるんだぞ。


しかも、ユダの浮気が原因の離婚。



「これだけ見た目が良くて、仕事も成功してたら、モテるのはしょうがないですよ。

むしろ、結婚相手に選ばれただけ幸せだと思います」



やたらユダに肩を持つ聖奈。


聖奈が不倫を許すような子だとは思わなかった。


そんなにユダは魅力的なのか?



「何? 聖奈はクズが好きなの?」



少し攻撃的な言い方をしてしまった。


別に喧嘩がしたいわけじゃないのに。



「...先輩、お兄さんと仲が悪いんですか? 先輩のお兄さんだから、あんまり悪く言わないようにしたんですけど...」



そう、この天井からぶら下がってるポスターの男、キメ顔でいかにもナルシストそうな男が俺の兄。


ユダ様...本名、湯田皇翔(ゆだこうが)


母親に引き取られた兄さんとは名字が違う。


俺がユダの弟だと知っている人は、俺の周りでは少ない。


親が離婚する前からの知り合いくらいだろう。



「...兄さんと仲は良いけど」



嘘では無い。


ユダは同棲している女と喧嘩すると、決まって俺の家に逃げる。


一つしかない家の合鍵を、兄さんが持っているくらいには、良好な兄弟関係だ。


ユダの女性関係のだらしなさには呆れるが、それ以外の面では素直に尊敬している。



「先輩って、なんか子供みたいですね」



そう言われてむかついたが、すぐに怒りは収まる。


聖奈は俺の手を右手で取って、子供をあやすように左手でポンポンと軽く叩いた。



「先輩の方がカッコイイですよ」



嬉しい!



「当然だ」



聖奈はやっぱり良い女だ。


見る目がある。


さすが聖也の妹、そして俺の可愛い幼馴染。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ