好き避け
17時。
俺はノートパソコンを閉じる。
定時に間に合った。
今日のタスクは終わったし、いつでも帰れる。
俺は聖奈の方を向いた。
「で、話って何?」
まだ仕事を終わらせていない聖奈に話しかける。
「告白なら断る。俺はマリアが好きだ」
俺ははっきり伝えた。
幼馴染でイケメンの上司...好意をもたれても仕方がないが、俺には好きな人がいる。
最初に釘を刺しておかなくては。
聖奈はパソコンを打つ手を止めて、俺を見る。
「マリアちゃんはやめてください」
俺の目を見据えて言う。
「なんで?」
「マリアちゃんは、ダメなんです」
答えになっていない。
「酒癖悪いとか、ヤリマンだとか?」
「マリアちゃんはそんな子じゃないです!」
じゃあ何がダメなんだ?
その二つがクリア出来るなら何も問題はない。
まさか...。
「お前...レズなのか?」
だから彼氏を作らないのか?
マリアのことが好きなのか?
「ち、違います! 私は男の人が好きです!」
わからない。
何故そんなに俺とマリアをくっつかせたくないんだ?
やはり考えられるのは一つしかない。
聖奈は俺のことが好きなんだ!
昔よく避けられていたのも、きっと恥ずかしがっていただけで。
聖奈が高1で留学に行ったせいで、同じ高校に在籍していたのに会えなかったのも、
同じ会社なのに沖縄に行ってしまったのも...全部好き避けだったのか。
俺のことが好きすぎて辛いってやつか。
ずるいぞ聖奈。
聖也の妹だから、小さい頃から気にかけてやったのに、お前はずっと俺に冷たかったじゃないか。
いや、もしかしたら聖奈は今の今まで自分の気持ちに気付いてなかったとか?
俺がマリアのことを好きだと聞いて、つい嫉妬して、自分の気持ちに気付いてしまったとか?
「とりあえずラインでも交換する?」
俺がそう言うと、聖奈は眉を顰めた。
「え、このタイミングで?」




