隣にいて欲しい
昼の12時。
いつもなら聖也が来る時間だが、今日は俺が忙しい日だと分かっていて来ない。
というか、聖也に頼まれた仕事もある。
聖也に仕事を手伝わされる=聖也も忙しいということだ。
いつもみたいに、一緒にお昼を食べに行く余裕はお互いない。
「課長、休憩いただきます」
部下達が、ランチを食べに行く。
隣で聖奈はもじもじしていた。
先程の件もあって俺に声をかけにくいのか、自分から何も言って来ない。
「いいよ、休憩とって」
俺がそう言うと、安堵のため息をもらした。
「お先に休憩いただきます」
聖奈はカバンから弁当袋を取り出すと、部屋から出ようとする。
「トイレで食べる気じゃないだろうな?」
聖奈は中学時代、昼休みはトイレに籠っていた。
理由はわからないが、彼女は友達がいないように見えた。
なんだか放っておけなくて、俺はその女子トイレの前にいて、彼女が出てくるのをずっと待っていた。
それを恥ずかしく思った聖奈は、トイレに籠らなくなり、屋上へ向かう階段の踊り場で俺と過ごすようになった。
「い、いえ! 朝早めに来て、社内を回ったので...休憩室がどこにあるのかはわかります」
聖也と待ち合わせしてるわけでもないということか。
「休憩室は混むからここで食え」
「えっ...」
聖奈はきょろきょろと辺りを見回す。
他には誰もいない。
「い、いやです」
何故?
「お前、誰もいないからって俺が何かするとでも思ってるのか? おこがましい。AVの見過ぎだぞ」
「は、はあ?!」
「いいから席に戻れ。お前に頼みたいことがある」
しぶしぶといった感じで聖奈は席に戻る。
「電話かけて。03-××××-××××」
「は、はい!」
「もやしラーメン定食一つ」
「えっ?」
「ラーメン屋の電話番号。もやしラーメン定食頼んで」
不承不承電話をかける聖奈。
それが終わったら、自販機へお茶を買いに行かせよう。




