帝翔のお気に入り
「もう帰ります。今日体調悪かったせいか、酔いが早かったみたいで」
帝翔は緑茶ハイを半分残して、お会計をする。
大丈夫か?
嫉妬でつい忘れていたが、帝翔は病気なんだった。
病気のことをもう一度聞きたいが、美智子さんには隠しているのかもしれない。
また二人きりの時に聞こう。
「そういえば今度の人事異動...沖縄から本社に聖奈が異動してくるぞ」
俺は妹の話をした。
帝翔は聖奈のことを気に入っている。
ぶっちゃけ、こいつは妹のこと好きなんじゃないか? と何度も思ったが、聞くのも野暮かと思って本人に確認したことはない。
ああ、帝翔が聖奈とくっついたらいいのに!
マリアに好意があると知った今、強く願ってしまう。
「どこに配属されるんだ?」
予想通り、帝翔は嬉しそうな顔をした。
「お前の下につける。本人は嫌かもしれないが、仕事は仕事だからな」
心配だ。
あの地獄のハーレムに配属されるなんて。
他の女性社員にいじめられそうだ。
帝翔は守ってくれるだろうか?
「今度4人で聖奈ちゃんの歓迎会しましょうよ」
マリアは楽しそうに言う。
「それは...聖奈次第だな」
俺は困った。
多分、聖奈は嫌がる。
「どうして? 帝翔さんと聖奈ちゃん、昔何かあったの?」
「うちのバカ息子が、聖奈ちゃんをいじめてたのよ」
俺の代わりに美智子さんが答えた。
「いじめてない」
「あんたはそう思ってても、聖奈ちゃんはいじめられてると思ってるの。受け取り側がそう思ったならイジメなの」
帝翔は悪気なく、人が傷付くようなことを平気で言う。
聖奈は何度もそれをくらっていた。
マリアは思い出したように、「ああ!」と大きな声を上げる。
「もしかして、帝翔さんが"悪魔の子"?」




